第2話再会

「花さん!」

「えっ!山田さん!?」


「花さん?」

「知り合いなの?」

「レンタルの時のお客様です」

「えっ、あのランチするって人?」

「そうなの」

ど、どこまで話してるんだろう…

山田は気が遠くなりそうなところを

必死にこらえた。


「うん、これウマイ!」

「さくらさんの料理、ほんとウマイ」

さくらさんって言うんだ…

山田は花の料理と本名を知った驚きを噛み締める。

目の前の花は、藤木の妻であり

子供達の母親であった。

あのプラネタリウムでキスをした花は

居なかった。


随分飲んで、少し涼みに庭へ出る。

花が、庭の草木を愛でていた。

「花さん」

「山田さん」

「私のこと、ご存知だったんですか?」

「いえ…知ってたら怖くて来れません」

「内緒にしてくださいね」

人差し指を口に当てて、悪戯っぽく微笑む。

あぁ、変わらず可愛い人だ。

プラネタリウムの花が、そこには居た。

「もちろんです

元気そうで良かったです」

「山田さんも」

「実は僕、彼女ができました」

「ホントに!おめでとうございます!」

「ありがとうございます。

花さんのおかげです。花さんが僕に自信を持たせてくれたから」

「私は何も…」

「体を張って教えてくれました」

「しーっ」

「あ、そうですね…」

「リツさんは元気ですか?」

「はい。あれからずっと海外で…」

「海外?」

「はい、仕事で。

しばらく帰らないみたいです」

「リツさんって、

何をされてる方なんですか?」

「僕もはっきり分からないんですが

投資でも、お金を出すだけじゃなくて

コンサルとか、ベンチャーキャピタルとか

買収して大きくして売却するとか…そんな感じみたいです」

「やっぱり、すごい方なんですね。連絡はされてるんですか?」

「はい、たまに。花さんのこと言ったら

ビックリするだろうなー」

「ほんとですね」


少し風が冷たく

火照った頬に心地よい。

月が綺麗な夜だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る