【Web版】13番目の転移者、異世界で神を目指すスキル【アイテム増殖】を手に入れた僕は最強装備片手に異世界を満喫する

まるせい(ベルナノレフ)

1年目

第1話召喚された日

 眩いばかりの光が差し、眼を開ける。


 瞼を開き周囲を見渡すと白い空間が広がっていた。


 身体を起こして周囲を見渡す。そこには戸惑いを浮かべて立つ12人の男女の姿があった。


『全員覚醒したみたいだね』


 空間に。いや、脳に直接声が届く。

 それと共に12人の男女の騒めきが大きくなる。どうやらこの場にいる全員がこの声を聞いているようだ。


『それじゃあ。説明をはじめさせてもらおうかな』


 男とも女ともとれる。その声はどこか楽しげな雰囲気を漂わせてそう言った。


『まずここが何処か説明しよう』


 声はするが姿は見当たらない。


『ここは神界。神々が住まう場所なのさ』


 どよめきが大きくなる。


『神界というのは神話や伝説なんかに存在するあらゆる神が住まう地の事だよ。日本神話やギリシャ神話。エジプト神話なんかで出てくる神様も大体ここに居る』


 12人の男女が戸惑う中。声の主は説明を続けていく。


『君達は選ばれた。次世代の神の候補としてね』


 それは突然の宣言。


『実は最近、神の一柱が行方不明になったんだ』


 心なしか、その声は冷めている。


『もちろん。その神もそれなりの神力を持っているから死んだとは断言できない。だけど、いつまでも神座を放置しておくわけには行かない。だから僕は神に成り得る存在をここに集めた』


 そう言って言葉を溜める。


『ここに居るのは全員が何らかの優れた能力を持っている。それはある種の戦闘技能であったり、魔法適正であったり、鍛冶適正だったり。とにかく君達は一般人とは隔絶した存在って訳だ』


 神からよせられる賞賛の言葉に何人かは頬を緩める。


『僕の仕事は君達の中から新たな神を選出する事なんだ』


「ちょっと待って下さい! いきなり神になれなんて言われても」


 そこで一人の男が声を上げる。


「そうよっ! そんな事より家に帰してよ」


 それに続いたのは女だった。


 その言葉を皮切りに全員が声を出し始めた。


 暫くの間声の主は黙り、12人の男女のわめき声が響く。

 内容は「帰らせろ」だったり「神になんてなりたくない」だったりひたすら泣き続けたり。


 彼らや彼女らは心の底から叫び続けそして――。


『もう言いたいことは言ったかな? それじゃあ、結論を言うね。無理だよ。君達の肉体と存在はこの神界に召喚する際にSPへと変化させてしまったからね。消滅したんだ』


 その言葉に全員が唖然とする。


『ようやく静かになったね。それじゃあ説明を続けるね。皆、ステータスを開いてみてくれるかな』


 その言葉に自分のステータスを表示して見せた。





氏名:藤堂 直哉(とうどう なおや)


レベル: 1


HP 10

MP 10

STR 10

DEX 10

VIT 10

INT 10

MND 10


称号:神候補


ユニークスキル:Duplicate インベントリ


SP:2500




『見れたかな? まず称号に【神候補】ってあると思うけど、これは君達が神になる為の称号で様々な恩恵をもたらしてくれる。例えば、通常の人間の数倍から数十倍の速度でレベルが上がったり、レベルアップ時にステータスの上昇値が高かったりだね』


 神々なりの措置なのだろう。レベル上げにも手間取っていては神になどなれない。早々に経験を積む必要がある。


『その中でユニークスキルというのがあると思う。実はこれが君達をここに呼んだ理由でもあるんだ。君達は今、それぞれユニークスキルを一つ持っていると思う。それは他に誰にも無い君達だけの力。もちろん僕だって持っていないんだ。だからこそ君達は新しい神候補になりえたともいえる』


 声の説明は続く。


『続いてインベントリの説明ね。これはアイテムを収納できる空間なんだ。とりあえず最初のサービスとして十日分の食料と水は入っている。確認しておいてね』


 各々が、自分のインベントリを開いてアイテムが入っているのを確認した。


『最後にSPだね。これに関しては場所を移動して話そうか』


 声の主がそういうと、空間の様子ががらりと変化した。




 先程までの白い空間は無く。そこは一つの建物だった。

 中央のエントランスに全員が集められ。


 その四方に伸びる空間には幾つかの部屋がある。そして階段があり、上の階にも幾つかの部屋があった。


『ここは神々の宝物庫。君達の世界にもある伝説の武器や防具。そしてアイテムが保管されている場所だ』


 部屋の一つ一つには『剣』や『鎧』と刻印されたプレートがドアについている。


『君達にはこの後、異世界に赴いてもらう。そこは神が行方不明になった世界で、大量のモンスターが力を振るう世界だ』


 モンスター。その言葉に背筋が寒くなる。


『ここで君達はSPの消費が許す限りのアイテムを選んでもらう事になる。君達はひとりにつき2500SPだからそれなりの武器か防具かな。そして選び終わったらここに戻ってきてくれるかな』


 どうやら、ここには様々な武器や防具があるらしい。「剣」「槍」「斧」「杖」「弓」「盾」「靴」「鎧」「兜」「装飾」。


『欲しいアイテムの横には説明と共に消費SPが書いてある。それを手に持って部屋を出る。そうするとSPが消費されるからね。ちなみに各部屋で最強のアイテムは中央の台座にあるんで』


 それっきり声がやんでしまった。どうやら後は自分達で見て確かめろという事らしい。


 各々は戸惑いながらもそれぞれ動き出した。

 バラバラに動く者。何人かに声をかけて相談している者。


 そんな様子を尻目に僕はいち早く動き出した。

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