第四章 女神の迷宮編

第0話 「残滓」

「どうした? この程度か?」


それは、夢だと知っていた。だが夢にしては鮮明で。見ている先には2つの影があった。


「…ぐッ!」


「これで、この世界も終わりだ」


一つはその言葉と共に虚ろな靄に包まれた何かで。それが手を伸ばすと眼下の星を闇よりも深い虚ろが覆おうとした時、もう一つ、相対するようにして、されどその姿はもはや満身創痍の女の姿があり。その目は諦めていなかった。


「まだ、手段はあります…!」


「リュミエールさま!?」


「いけません! それをすれば貴女は!?」


「そうです!だから私達を!」


「私達の力を使ってください!私達の力が貴女に戻れば!」


「駄目です!可能性である貴方達がここで消えることは、母として、許しません!」


女神リュミエールは世界が黒く染まり飲み込まれるなか、の静止の声を振り切り女神は自らの胸に指を突き刺す。そして、女神の体から血が流れることはなく、心臓を抜き取る掲げるとそれは眩い光を放っており。


「世界を…星を終わら、せません…!」


苦しげな表情を浮かべながら女神は自らの心臓を掲げると、光はより強く光り輝く。それはまるで新たな世界を創り出す超新星のようで。


「後は、お願い、ね。女神身命(ロスト・ノヴァ)」


「「「「母様ッッッッ!!!!」」」」


その名を口にして、女神の体から光が溢れでて世界を白く染め上げるなか、4人の声も光に飲まれるように掻き消され。

既に世界の八割を覆おうとした虚ろは光によって払われていき、その光は靄に包まれた存在をも飲み込む。


「貴様…」


「我が身の輝き以て、光の牢獄に封じられよ、星喰らいの獣! 星よ、我が心臓を以って再生せよ!新輝星生(リバイブ)!」


体からの光であらゆるを飲み込んむ光の中、靄を包み込むように押し込め、白と虚ろ、二つの世界へと別れ、そして、心臓を捧げた女神の体は無くなり、残った心臓は眩くも暖かな光を放ち虚無に蝕まれた世界を包み込み、世界を癒す。


「リュウゥゥミエェェールゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!」 


その様を星喰らいの獣は光の檻に囚われた状態で見ることしか出来ず、その四肢は光の杭によって縫い留められ既に姿を消した女神の名を怨嗟を込めて叫んだのを最後にその全ては封じられた。


(愛しい我が子達…どうか、彼の者を…)


救ってください。それの言葉を最後にその場には誰も居なくなり、ただ静かな宇宙がそこに広がっているだけだった。

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