第29話 カッサンドラ・4


―4―




 三月の後。

 アウトは、アタシにプロポーズをしてきた。

 アタシは、一応は戸惑ってみせる。

 貴族様には相応しくない女だと、辞退してみせたのだ。

 この程度でアウトが諦めないのは先刻承知。アウトは、もうアタシに惚れ込んでる。

 案の定、彼は土下座する勢いでアタシに結婚を申し込んできた。

 その時になって、ようやく、アタシは恥ずかしそうに微笑して頷いてやった。

 アウトは大喜び。

 子供みたいに歓声を上げて、アタシの手を取り、何度も口付けた。

 この調子で行くと、つま先にまでキスされそうだったので、アタシは、アウトの身体を抱き締めて、その唇にキスしてやった。

 女王様も悪くないけど、今しばらくは、貴族の奥様で居たいんだよね、アタシ。


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