RE-ANIMATOR

やんばるくいな日向

第一部

第1話 記憶の女・1

RE-ANIMATOR

ACT.1【記憶の女】



-1-



 おんな。

 おんながわらう。


――さて。では始めようか。


 しろいはだのきれいなおんな。

 あかいひとみをすぅっとほそめて、おんながわらう。


――身体の無事な部分は何割だ?

  5割? たかが一対一の殺し合いで、よくもまぁ、それだけ損失出来たものだな。

  まぁいい。構わん。

  脳が残っているのなら、十分だ。


 ながいかみがゆらめく。

 わたしのうでにからみつく。


――下肢の損傷が激しいな。

  おい、4番を持ってきてくれ。

  2番だけでは完成出来ん。


 うすくいろづいたくちびるが、えみをきざむ。

 おんなのくちびるがうごく。


――腹部にもうひとつ脳を加える。

  成功すれば、反応速度が上昇する筈だ。

  ……失敗なら?


 おんなのくちびるが、ことばをつづる。

 わたしにむけて、やさしく、ことばが、つづられる。


――失敗なら、簡単な事だ。

  この2番の被検体は死亡……いや、破棄される。


 おんなのことばがしりたい。

 わたしにむけてささやかれることば。


――……どうやら成功のようだ。

  良かったな2番。お前は生き延びる力があったようだ。


 ことばがわからない。

 なら、せめて。


――さぁ、目覚めるんだ。

  お前の仕事が待っている。


 ならせめて、あなたのくちびるのうごきを、わたしはおぼえよう。

 いつのひか、あなたのことばがわかるように。


 

 ……目覚める瞬間、腕に絡みつく何かを感じた。

 だが、それはあくまでも夢の中の事。

 男が目覚めた瞬間、すべては記憶の底に封じられた。

 ただ。

 男は覚えていた。

 白い肌の中、言葉を綴る微かに色付いた唇を。


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