第161話 仲間を探して

「そうだ、リスティアに頼もう!」

「だから冒険者はダメなんだって……」

そうか、リスティアは冒険者だったな……エロい目でしか見てないから忘れていた──


とりあえず作戦と立てるために、俺とニジナはフクロウ亭で茶を飲みながら考えていたのだが、なかなか良い案が出なかった。


「セイレーンとか強いかな」

「ああ、テリス姉妹か……どうだろう、あまり戦闘力は高くないと思うけど、それにメリューカとドロキアだと方向が全然違うし、メリューカにスカウトしにいく時間なんてないんじゃない?」

「うむ……確かにメリューカまで急いでも5日はかかるからな……往復で10日、ちょっと無理そうだな……そうなるとやはり近場で見つけないといけないか……近くに住んでいて強いモンスター……──あっ! 一人いるではないか強力なのが!」

俺の言葉に、ニジナも同様の人物を思い出したのか同意する。

「そうね、いたわね、五次職冒険者とも渡り合えそうなのが……」



と言うことで、俺たちは、ルーディアの歓楽街にあるバーへとやってきた。


「ジンタ、遠くに冒険に行ったと聞いてたので、心配していたのだぞ」

銀色の長い髪をなびかせながら彼女は嬉しそうに俺を出迎えてくれた。

「カルナギ、ちょっと頼みがあるんだけど」

なんだ、どんな頼みなんだと喜びながらカルナギは聞いてくる。

「もちろん、ジンタの頼みならどんなことだって聞いてやるぞ」

俺はカルナギにモンスター闘技会の説明をして、参加をお願いした。


「ふむ、なるほどな、ジンタの頼みじゃから当然、引き受けたいが、私は戦闘行為が禁止されている身、問題なかろうか」

「それは大丈夫だ、モンスター闘技会は戦闘ではない! 普段の己の努力と鍛錬を試し合う、健全な競技であり、戦闘とは程遠いものなのだ! だから全然問題ない!」

俺の意見に賛成なのか反対なのかニジナが嫌味を言ってくる。

「またそんな強引な持論を並べて……まあ、ジンタの言い回しはちょっとあれだけど、私も闘技会は、カルナギが禁止されている戦闘行為には触れないと思うわよ」


俺とニジナを信頼しているカルナギは、その言葉にウンウンと頷き、モンスター闘技会への参加を承諾してくれた。


ユキにシュラ、それに魔神のカルナギが入ったことで、もう勝てるんじゃないのかなと俺的には思っている。なので、後の二人は人数合わせでもいいだろうと考えてるのだが……テーブルを拭いているラミアの一人を見て、俺がラミアを二人連れて行けばいいかと結論を出そうとした時、カルナギが意外な話を始めた。


「ジンタ、まだ人数が足らないとか言ってたようじゃが、一人心当たりがあってのう……もし、ジンタに問題なければ、その者を闘技会に誘いたいのだが、よいかのう」


カルナギに俺の知らない知り合いがいるってのには少し驚いたが、とりあえずその人物に会ってみることになった。



カルナギは、俺を町外れの古い屋敷へと連れてきた……屋敷は寂れてボロボロでとても誰かが住んでいるとは思えない。

「カルナギ、その人物ってのはここに住んでいるのか?」

「ちょっと薄気味悪いわね……」

ニジナが屋敷を見て、失礼なことを言う……確かに不気味で、ゴーストの巣とかになってそうな廃屋だが薄気味悪いとか言っちゃダメだぞ。


屋敷に入ると、無数のゴーストがフラフラと集まってきて俺たちを出迎えた……ちゃんとしっかりゴーストの巣になってるじゃないか……

「ちょっと下がって、私が──」

ニジナが一丁前に自分に任せろ感を出して前に出た。

「ニジナ、大丈夫、ゴーストたちは歓迎しているのじゃ、ほら、ニコニコと喜んでおる」

と、カルナギは言うが、ゴーストの表情など俺にはわからんのだが……どれも同じ顔に見えるし……


ゴーストが喜んでいるのかどうかはわからないけど、確かに攻撃してくる気配は感じなかった、俺たちはフワフワと浮遊するゴースト達に囲まれながら、屋敷の奥へと進んだ。


屋敷の奥にある部屋に入ると、カルナギは、古い時計の針をクルクルと回し始めた。針を回す度に、カチカチと何かが回る音がして、近くにあった暖炉が上がっていき下から階段が出現してくる──


「隠し階段かよ、カルナギの知り合いは何者だ」

「まあ、会ってからのお楽しみじゃ」


ここまできたら引き返すこともできない、俺たちは現れた階段をゆっくり降りていった。

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