第156話 エロ女神と変態召喚士
戻ってきた女神は凄い剣幕で怒っていた──
「何を考えてるのですか、変態召喚士! 少しは私を敬いなさい!」
「ふっ……敬うだと……そんなことは考えたこともない」
「堂々と言うことですか!」
「とりあえず、そんなどうでもいいことはさて置いて、四次ジョブクエストはクリアーだから、さっさとジョブポイントをよこしやがれ」
「……確かに女神の涙を手に入れたみたいですけど……本来、そのようなやり方で入手するなんて想定していないのですよ……どうしたものかと悩んでいます」
「本来の入手方法ってなんだよ」
「それは私の感情を揺さぶる事によって、女神の尊い涙を誘い……」
「自分で尊いとか言ってて恥ずかしくないか」
「うるさいわね!」
「感情を揺さぶるって具体的にどう言うことだよ」
「例えば、何かに打ち込む必死の努力を私に見せて感動の涙を誘うとか、悲しみに満ち溢れた物語を語るとか……」
「なんだよそれ、そんなの知るかよ、とにかく女神の涙は入手したんだ、クエストクリアーにしなさい」
「……まあ、確かに、物理的に涙を流させるって荒技ではありますが、あなたの言う通り女神の涙を入手したのは事実ですし……いいでしょう、クエストクリアーとしましょう」
ちょっと仕方ない感はあるが、エロ女神はクエスト報酬であるジョブポイントを付与した。
「どうしますか、すぐにポイントを割り振りますか」
本来なら、ポイントはすぐに割り振る派の俺なのでそうするところだが、それ以上に大事な要件があるのでそれは後にする事にした。
「いや、それより今はやらなきゃならないことがある」
「やらないといけないこと? なんですかそれは……」
「ふっ……いつも心の中でしか会ってないから仕方ないが……今はこうして実物が前にあるのだぞ、抑えていた欲望を解放する時は今だとエロ女神も思うだろ」
エロ女神は俺を性的な目で見ている、それは間違いない、後は自分の欲望に忠実に行動できるかどうかである。
「はぁ? 変態召喚士……要件は終わりました、さっさと帰りなさい」
「無理をするな、さぁ、この腕に飛び込んでこい! もう疼いて仕方ないんだろ」
「……全くもって平常かつ正常です、あなたの腕には飛び込んでいきませんし、あなたには飛び降りて死んで欲しいと思っているくらいです」
「ははん〜照れてるな、よし、いいだろう、ちょっと強引に、俺の方から誘ってやろう」
そう言いながら俺はエロ女神に近づいて肩を抱き寄せた……その瞬間、腹に強烈な衝撃を受ける。
「がふっ!」
「女神に気安く触れてはいけません!」
「口で言えばいいだろう! どうして腹殴るんだよ! そもそも女神が人を殴っていいのかよ!」
「口で言っても聞かないでしょ! それにあなたを人だと思ったことはありません」
「人じゃなければなんなんだよ!」
「変態召喚士です」
「召喚士はジョブだ!」
「いえ、あなたの場合はもはや種族です」
「チッ……意味のわからんこと言って、照れを隠すにもほどがあるぞ!」
「ですから、何も隠してません! ありのままの反応です」
「どうしても俺とエッチなことをする気は無いのだな」
「はい、全くありません」
「くっ……こうなっては仕方ない……ちょっと強引に行くしか無いようだな……最初は嫌がっていたが、やがて自分が女だと言うことを思い出し、後は快楽に身を任せていく……そのパターンでいく事にしよう」
「何一人で勝手な妄想してるんですか」
女神のツッコミなど無視して、俺はジリジリとエロ女神に近づいていく……エロ女神は俺の行為を受け入れる覚悟ができたのか平然としている。
「自分が女だってことを思い知らせてやるぜ!」
そう言いながら俺は女神に襲い掛かった。
「強制送還!」
エロ女神はそう叫んだ──
「いいから抱かせろ!」
そう言いながらエロ女神に抱きついた……と、思っていた……
「……ジンタ……ちょっと……エルフィナスがいるのにそんな大胆なこと……」
「え?」
見ると、俺は女神の祭壇の、貢物部屋へと戻ってきていた……しかも女神だと思って抱きついたのはニジナである。
「おい、召喚士、別に我が妹に手を出すなとは言わぬが、その前に私の相手をするのが筋であろう」
どういった筋かはわからないが……くそっ……エロ女神の奴、汚い真似しやがって、今度あったら絶対にあんなことやこんなことをしてやる。
そんな感じで密かにエロ女神に復讐を誓っていると、ニジナがコソコソと耳打ちしてくる。
「こ……今夜、私の部屋くる?」
……しまったぞ……さっきのでメスが疼いたのか、変なスイッチが入ったようだ。
「ど……どうしてだよ……」
俺はなんとか誤魔化そうとそう言う。
「だって……ジンタの部屋にはシュラちゃんも、ユキちゃんもいるから……」
完全にやる気じゃねえか……さて……面倒臭いことになったぞ……
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