1 現実は自らがそう認識したものの総体である
1.0 犯人の独白
いきなりだが、私は犯人だ。
この物語はA高校2年1組で起きた「殺人事件」の謎を、クラスメイトであるリョウ、アヤカ、トモヤ、ミキが解き明かすべく奔走するというものだ。事件の被害者はクラスメイトのユウコという女子生徒である。
A高校には「E-school」なる公式サイトが存在し、そのサイトでは生徒や教師が一人ひとり「アバター」を持っており、自由にコンタクトが取れる仕組みになっている。要は「ネット上の学校」なのだ。ユウコはこのE-school上で私に殺される。(、と少なくともリョウたちは信じている。)
そもそも情報化社会の進展によりインターネットが発達したせいでSNSのいじめが起こるようになったのではないか。近頃はLINEなどトークアプリの「グループ」で無視したり、「ブロック」したりといういじめがあるようで、これらのいじめに教師が気づくことは難しい。ネット上のいじめが現実世界のいじめに波及し、さらにそれがネット上のいじめを加速させるという悪循環に陥るのだ。もういっそインターネットなどなくなってしまえばよいのではないか……
失礼。話がそれてしまった。とにかくこの物語では「現実の」学校と「ネット上の」学校の話を行き来することになる。もっともこのご時世ではどちらが「現実」なのかはそう簡単には分からないが―――
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