Dランク冒険者の僕は《寵愛》スキルでS級美人のお姉さん達《妖精人》に愛でられます

とんこつ毬藻

第1愛 そして彼は双丘に呑まれる

 夢の都ドリームタウン――――

 人間の世界を真似て創られたとされるこの街は、まるで、様々な異国の文化を寄せ集めしたかのような不思議な構造をしている。


 石畳が敷かれたメイン通りには、人間界を模した露店やお店が立ち並び、エルフや妖精人ピクサノイド、猫耳や犬耳といった獣人族、魔法使いのローブを着た女性、鎧を身につけた騎士風の男――様々な種族の住民達が行き交い、賑わいを見せていた。


 そんな夢の都ドリームタウンにある人気ひとけのない静かな公園で、女の子らしき人物が一人、ベンチに座って何かを食べていた。


「ふわぁーー、やっぱり夢苺のクレープはほっぺたが落ちそうになるなぁー」


 頬に手を当てて至福の表情で大きな苺を頬張るその姿……通りすがりの者誰もが立ち止まり、振り返ってしまう程の可愛さ。艶々な肌はミルク色。蒼く美しいマリンブルーの髪が風に靡くと、爽やかな香りがそよ風に乗って流れていった。


「おい、おちゃん。美味しいそうなモン食べてるな! へへへ、俺様がお嬢ちゃんにもっと美味しい物を食べさせてやるよ?」


 一口では頬張れない程の大きな苺を食べ終え、口元についたクリームをペロリを舐めとり、キラキラした純朴そうな空色の瞳を褐色肌の大男へ向ける。


「へぇ……お兄さん……何食べさせてくれるの?」

「へへへ、そうだな、あっちで俺様特製のチョコバナナでも食わせてやるよ、ついて来な!」


「わぁーい、ありがとうお兄さん!」


 大男が歩き出すと、おちゃんと呼ばれた女の子はベンチから飛び降り、大男について行く。


 (なんだよ……こいつ天然か? まぁいい、今日は上物だ、俺様はついてるぜ!)


 やがて、公園を離れ、茂みの奥へと入っていったところで、大男が立ち止まる。


「ここだよお嬢ちゃん。さぁ、チョコバナナを食わせてやるから、大人しくするんだよ?」

「……ねぇ、お兄さん? ひとつ聞いていい?」


「どうしたんだい?」

「お嬢ちゃんって、の事?」


 刹那、赤いフリルのスカートとワンピース姿だった女の子が服を脱ぎ捨て、一瞬にしてマント姿の冒険者風の装いへと変化する。服装が変わっても、見た目が女の子に見える事には変わりないのだが、さすがに大男は間違いに気づいたようだ。


「なっ!? こいつ、!?」

「だったらどうする?」


 ニヤリと笑う男の娘・・・へ向け、素早くナイフを取り出し、襲いかかろうとする大男。しかし、そこにの姿はなく……。


「戦舞――流水翔りゅうすいしょう!」


 懐から素早く扇のような物を取り出し、回転しつつ大男のナイフを払い落とす。扇は清らかな流水を帯び、圧縮された水の圧で大男の巨体を軽々と弾き飛ばしてしまう。


「あ、兄貴ーー! 大丈夫ですかい!?」

「なんなんだ、あいつ!」

「くそ、やっちまうぞ!」

「女じゃねーのかよ!」


 大男の様子を茂みに隠れて見ていた小物達が飛びかかる。しかし、流れるような彼の舞う動きを止める事が出来ない。


「嘗めんなよ……ガキが……燃え上がれ! ――火炎球ファイアボール!」


 倒されていた大男が掌から火球を繰り出す。初級レベルの炎系魔法だ。しかし、炎が彼に届く寸前、既に彼は、扇を地面に伏した状態で次の技を放っていた。


「戦舞――間欠泉かんけつせん!」


 地面から巻き起こる水流が上空へと舞い上がり、そのまま火球は水流へ呑み込まれてしまう!

 やがて水流は命を宿したかのように巨大化し、大男と小物の取り巻き全てを呑み込んでいった。


「ぎゃああああああ」

「やめてくれぇええ」

「ママぁあああああ」

「ごぼぼぼぼぼぼぼ」




 地面に伏した男達を縄状に創成した水で縛り拘束する。


「よし、連続妖精浚いの犯人確保、いっちょあがり! エクセレント!」


 両手をパンパン! と叩いて顔の横でピースサインをする男の子。


「お前……ガキの癖に何者だ……その特殊技オリジナルスキル……冒険者か?」

「嗚呼、僕は夢都ドリームタウン冒険者協会所属の冒険者だよ。君達を捕えてくれって依頼クエストがあったんでね。こうして出向いた訳さ。それに僕はガキじゃない、これでも青年と言われる歳だよ」


 ポーチからブロンズに縁取りされたネームプレートのような物を取り出すと、そこには【名前:ユズキ・ルーシア/所属:夢都冒険者協会/職業:舞踊士ダンサー/冒険者ランク:D】と書いてあった。


「……Dランクであの強さだって!? し、信じらんねぇ……」


 そのまま大男は気を失う。


「さてと……レミリアさんも心配してるだろし、そろそろ戻るか……」


 彼がそう呟いていると……。





「もうっ……ユズ・・君! 探したわよ! どうして一人で片づけちゃうの!? 心配したじゃないー」


 遠くより走ってくるブロンド髪の女性。彼より背が高く、二つの果実・・・・・が強調された白い魔導士風のローブを身に纏っている。彼女が走る度、収穫時期のメロンのような果実がたぷん、たぷんと揺れている。


 そして、そのまま彼――ユズキの顔は、ちょうど顔の高さにジャストフィットな女神の双丘に呑み込まれ……そう、あの火球が間欠泉に呑み込まれた瞬間を再現するかのように、見事に二つのメロンへと埋もれていったのである。


「んん……んんん……レミリ……息が……出来ないから」

「もう、私が来るまで待ってくれなかったお仕置きなんだから。嗚呼……ユズ君の髪の香り……戦い後の汗の臭い……私……濡れて来ちゃ……」


 途端に下半身をもぞもぞさせながら悶え始める女性。


「……レミリア……勝手に暴走……しないで……」

「はぅう……あ、ごめんね、つい」


 必死の訴えが届き、ようやく解放されるユズと呼ばれた青年。


「じゃあレミリアの夢渡の力ドリームポーターで、ちゃちゃっとこいつら運んじゃおうか」

「おーけー! 任せといて!」


 レミリアが腰に携えていた大きな杖を地面に突き立て、念じ始めると、捕えた大男達が伏した地面に巨大な魔法陣が広がる。光に包まれ男達の姿が消える。


夢妖精ドリームフェアリーの力、何度見ても凄いや!」

「もうご主人様マスター。褒めても何も出ないんだからね。さぁ、私達も還りましょう」



 彼等の冒険はここから始まる―――― 



*************

たくさんある作品の中から手に取っていただきありがとうございます。

手軽に読めるコメディ×ハーレム作品。

ぶっ飛んだキャラがたくさん登場予定です。

突っ込みどころ満載な展開もございますので、

応援コメント等で気軽に突っ込んでいただけると作者も喜びます(笑)

お気に召していただけましたら☆評価&レビュー等いただけると励みになりますので、よろしくお願いします。 

それでは「僕愛」本編をお楽しみ下さい♪

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