第2話「ゾンビなのに大きいおっぱい」


おっさんの仲間はおっさんも含めて15人、


他の7人はおっさんに任せたが俺が噛もうとする7人の中に一人だけ女の子が混じっている。


他の6人はもう首元を噛み終わったが、この女の子はおまけにおっぱいが物凄く大きい。


これがゾンビ化すればどうなるのか、肌色も変わりおっぱいも腐る……。


貴重なおっぱいを無下にはしたくないがここで死んでしまっては勿体ない、


やむを得ず少女のおっぱいを噛み、ゾンビ化をする。




おっさんが噛んだ3人は死体だったらしいが、視界に眼孔が戻り目を覚ます。


はて、一体魂はどこに行ったのだろう。




「うおっ! うおおお!!! 生きてる! 生きてる! 閻魔大王に後ちょっとで無限地獄まで突き落とされそうになったのに生きてるよ俺!」




一体どんな人生を送ってきたのやら、何はともあれこいつも多分魂は元に戻った筈だ。


もし魂が別の場所にいったのならこんなぺちゃくちゃと人間みたいに喋る事はないだろう。


おっさんの生き返った7人は全員息を吹き返すと、先程のおっさんと同じく、


おっさんに向けて右膝を地につけて顔を伏せる。




「「「「「「「主、我が主よ! お名前を聞かせて頂けませんか!」」」」」」」




7人全員がおっさんにそう言う、どこかデジャヴというものを感じるが。


しかしおっさんは何に対して怒っているのか知らないが、顔を真っ赤にさせ7人の部下共に怒鳴り散らす。




「ば、ばかもーん!!!」




「「「「「「「ひえっ!?」」」」」」」




「いいか! よく聞けこのポンコツ共、今日から主は俺じゃねえ、ここにいる偉大で凛々しいゾンビこそが我ら主、ゾンビマスターなのである!」




「「「「「「「おお! マスター!!!」」」」」」」




何だか凄い面倒くさくなってきた……。


しかし、それを無視するかのように右膝を地につけ、忠誠を誓うようなポーズを取っていたのは俺が噛んだ7人のおっさんの仲間達である。


俺が噛んだおっぱいちゃんも右膝を地につけていた、


確かに肌色は俺と一緒で少し不気味にはなっていたが、


それでもおっぱいがある限りは色気がムンムンである。




「「「「「「「主、我が主よ! お名前を聞かせて頂けませんか!!!」」」」」」」




こいつらはゾンビになった瞬間の台詞がそれしかないのか、


もしこいつらが下部なのだとしたらもう少し語彙力は磨いて欲しいもんだね。




「「「「「「「マスター! どうか我々にもお聞かせ下さい!!!」」」」」」」




後ろからぞろぞろと近寄ってきたのはおっさんに忠誠を誓っていたゾンビ野郎共だ。


どうやら俺自体が噛まなければ忠誠を誓う事はないようだな。


さて、名前を教えろという事だが俺の名前は正直そんなかっこよくはない、


どちらかと言えばこの西洋的な世界には似合ってない名前である。


ジョンソン? ゴメス? メッセンジャー? ノンノンノン、だからといってゾンビに外国人の名前もあまり相応しくはないだろう。




「ふむ、吾輩にも本来の名前はあるのだが、もっとこう、かっこ良い名前が欲しくてな……」


「「「なるほど」」」




頷いたのは俺が噛んだゾンビ三人だけである、全員が全員同じ反応をする訳じゃないらしい。




「ふーむ、ではマスターはどうでしょうか」


「却下だ、吾輩はマスターであってもそれを名前にするつもりはない」


「うーん……」




全員が全員頭を傾げ、中には「弱ったな~……」と弱音を吐くゾンビまでいた。


何とも知能が足りてないゾンビ共だ、優秀なゾンビが一人もいないのは少し心細い。




「もうええわ! えーい! それよりも名前を教えろ、まずはそこの女!」


「は、はっ! 私の名前はミラージュです! ミラージュ・アンジェリーノ・シェパード・アンジェリカ……」


「長いからおっぱいちゃんでいい!」


「そんな……」


「次! おっさん!」


「っは! 実は私目、そこのミラージュと兄と妹の関係でして……」


「お前はおっさんでいい!」


「そんな……」




よくよく思えば名前なんて聞いても面倒なだけだ、


この姿になってからは記憶するという行為が非常に面倒臭い、


というより異常に同族を増やしたくて仕方が無いのだ。


それ以外の事など二の次で良い、それにこいつらが下部なんだとしても敵が襲撃してくる時に何とかしてくれるとはとてもじゃないが思えない。


そう言えばこいつらは一体誰にやられたのだろうか、


ここまでボロボロの体にされたのだから何者かに襲われたと考えるのが妥当である。




「おっさんよ、少し尋ねたいのだがお前達を襲ったのは一体誰なんだ」


「私達ですか!? えっと、勇者ですね、4人パーティの勇者、ありえないくらい強かったです」


「なるほど……勇者か、パーティの特徴とかはあるのか」


「そうですね……一人は男、そいつがチームを率いて残りは全員女でしょうか」


「誠か?」


「誠です」




ハーレムじゃねえかよこんちくしょう! 勇者許すまじ。


それにしてもやはりチームがこいつらじゃ俺の身がいつ滅びてもおかしくはない。




―――もっと最強の下部を作るべきだ。




「おっさん、ここら辺で最強のモンスターを吾輩に教えろ」


「最強ですか? そうですね……西側に確か最強のドラゴン、ローガン・ラギアとかがいるとかの噂は聞いたことがあります」




ほお……ドラゴンか、もしそいつが仲間になれば吾輩は百人力……。


いかん、こっちは心の声だ、つい吾輩というネットで使っていた言葉が心の中でさえも反映されてしまう。


だが何はともあれ……。




「初めての命令だ! 仲間にするぞ、そのローガン・ラギアとやらを!」




「「「「「「「「「「「「「「「っは! イエスマスター!」」」」」」」」」」」」」」」

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