ヘンテコな依頼人

第29話

 金魚達は早寝早起きで、その生活リズムに俺も水草姉妹もすっかり慣れていた。まだ朝の5時だというのに、金魚達と朝食の支度をしていた。そのとき、俺はあることに気付く。誰かが既に使ったような痕跡がある。きっとメダカ4姉妹が使ったのだろう。


「景虎くん、この後はどうするの?」

「折角ダシ、何処カニ寄道シテ行キマセンカ?」


 昨夜寝ぼけて聞いたのとは大分違う辿々しい日本語だ。やはり、あれも夢だったのだろうか。キャサリンが続けた。


「皆デ、Americaマデ行キマショウ!」


 なんの冗談だろう。俺は笑いながら良いですねなどと言ってみたが、金魚達は大反発した。早く帰って、ますたーに水をあげたいと言うのだ。


「ゴメンナサイ。大事ナコトヲ忘レテマシタ」


 という訳で、きれいな川の側キャンプ場を後にした俺達。戻ってからは平穏な日常生活が待っていれば良いんだけど……。

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