火竜と呼ばれた少年 =エーデムリング物語外伝=
わたなべ りえ
火竜と呼ばれた少年
魔族は滅びの道を歩んでいる。
魔の力を持たない人間の血が広がり、混血魔族のリューマ族が増え、かつての魔族の力は潰えようとしていた。
純血魔族であるウーレン族とエーデム族は、状況を打開すべく、ウーレン王とエーデム王の妹の結婚を持って、長い争いの歴史に終止符を打った。
しかし、ウーレン王亡き後の謀反により、エーデム王妹は息子を連れてエーデムへと逃げ帰った。
セルディーン・エーデムは、エーデム王の甥であるが、ウーレン族の血を持つ。
エーデム王族は、時にエーデムリングの象徴である銀竜に喩えられ、エーデム族は氷竜に喩えられる。
セルディーンは、後に火竜と呼ばれ、エーデム族の恐怖の対象となった。
エーデムの地では、彼に関するあらゆる文書は破棄され、彼の人となりを知るのは難しい。
だが、リューマの地では英雄とされ、ウーレンでは白カトラを彼の花として捧げている。
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