コップの中の漣
私はよく窓側になる。
希望できることではないから、たまたまなのだろう。
そして、私がここに居るときは、
決まって、天気の良い日が続く。
ベッドを跨ぐように設置されている、
キャスター付きの台。
その上には、夜に飲む薬と、
今度の治療で必要だという同意書と、
水分補給のためのカップ。
これは歯を磨く時にも使う。
私と違って使えるヤツだ。
今日も私は座ったまま、青空を見上げる。
外にいる時より、距離が近くなった青空を。
台をどかして、ベッドから出る。
反動で、台の上のコップの水がこぼれた。
あっ。
同意書の端が濡れてしまった。
すかさずティッシュで拭き取るが、後の祭りだ。
あーあ、、、。
コップの中を覗くと半分減った水がまだ波打っている。
それに映し出された私の顔が歪む。
まったく、お前も使えないヤツだな。
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