第44話 いざ、パーティーへ
風呂から出て栞の乾燥具合を確認する
栞を軽く曲げたり捻ったりして剥落しない事を確認した
よし、問題ないな
あ……、入れ物、何にしよう
時間は無いしな……今から作ったんじゃ間に合わないし
そうだ!確か折り紙で洋服の作り方ってのがあったな。それを少し細工して中に入れよう
折り方はメモした紙をファイルに保管してたから押し入れから引っ張り出す
ここをこうして?それでこっちを折り返して……うん?違うか?ダメだ
一からやり直す
こっちがこうなって、それでこっちはこうか、よし、あってるっぽいな
「よしっ!できた!」
後は、切込みを少し入れて中に入るようにすれば完成だ!
よし、栞を入れてっと…うん、これでいいな
時間は……?あっ、あぁぁぁぁぁっ!
16時50分⁉ヤバい!急いで着替えないと!
真っ白い服をハンガーから外して急いで着替える
あれ?これでいいのか?こんな礼服着たこと無いから分かんねぇ……
まぁ、いいか
貴重品と栞を持ってと……
ピンポーン
「はーーい」
ドアを開けると佐藤さんがいた
「お迎えにあがりました。塩谷浩二様」
「佐藤さん、ありがとうございます」
「おや?塩谷様……その、なんと申しますか……」
「な、なんですか?」
「少々そのままじっとしていただけますか?」
「は、はい」
佐藤さんは手際よく俺の服装を整えてくれる
「あ、ありがとうございます」
「大変お似合いです、塩谷様。では、行きましょう」
「はい」
俺は佐藤さんの心地よい運転に身を任せ黒坂邸に向かう
「塩谷様」
「はい?」
「おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます」
「私は黒坂家に雇われただけの部外者ですが、今回の事はとても喜ばしく思っております」
「部外者だなんて、そんな……」
「いえ、私は部外者なのです。本日の式に私は参列を許されていないのです」
「そうなんですか?」
「はい。長らく務めておりますが、過去に何度か同じような事もありましたので」
「そう、ですか」
もしかして、佐藤さんって魔女の世界の事知らないのかな?
でも、迂闊に話すわけにはいかないしな……
「しかし、私はそれで良いと思っております」
「え?」
「解雇されないという事は、私自身には何も問題が無いという事だと思いますので」
「佐藤さんは素晴らしい運転ができる凄い人ですよ」
「はは、ありがとうございます。もし、可能ならお二人の結婚式には参列させていただきたいものです」
「そうですね。俺としても是非一緒に祝ってほしいです」
そんな話しをしている内に黒坂邸に到着する
車を降りようとすると
「塩谷様、お待ちください」
ん?何だ?
流れるような滑らかな動きで運転席から降りて、俺が開けようとしたドアを佐藤さんが開けてくれる
「お待たせしました」
「ありがとうございます」
「これから、乗り降りの際は私がドアの開け閉めをしますので」
「いえいえ、そんな悪いですよ」
「いえ、本日より塩谷様は黒坂家に加わると聞いておりますので…これが私の仕事ですから」
「…はい、わかりました。これからもよろしくお願いします」
俺を降ろした後、佐藤さんは車に乗り走り去った
家を出る時、少なくない緊張を感じていた俺はだいぶ緊張が和らいだのを気がついた
佐藤さんと話をしたから?だとしたら、ほんとにどこまでも気の利く人だな……
少々の緊張感を持って俺は意を決してドアノッカーを鳴らす
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