第4話勝利の代償は魔力栞の暴走
試合に勝利し地上にゆっくり降下する愛衣
チームメイトも相手選手もいない黒く焦げた大地に降り立ち
箒を脇に抱え、魔法図書から
もう魔力栞には魔力が残っていないはずなのに、だ
慌ててキャンセルを試みるもなぜかできない
愛衣「そんな!?なんで!?」
愛衣の意思に反して魔力はどんどん膨れ上がる
そして発動に必要な魔力が満ちた時、あの魔法が発動する
『
辺り一帯を焦土と化す炎の十字架が上空に現れた
それは試合で使った時よりも大きく、面積が広すぎて上空に飛んで逃げる事ができない
不幸にも試合が終了した為、防護魔法は解除されている
遠いにも関わらず生身で感じる膨大な熱が、このままではマズいと本能に訴えている
足が遅い愛衣は急いで箒に乗り低空を全速力で走る
愛衣「間に合えーーーー!!」
制御されていない『火刑の業火』がさっきまで自分の立っていた場所に角から落ちる
後方から爆風が途轍もない速度で迫る
箒よりも爆風の方が速く煽られて体勢を崩し、箒から落下し勢いよく転がる
更に爆風の勢いで数十mもの距離を吹き飛ばされる
爆風が治まる頃には愛衣は意識なく、大会用の衣装であるとんがり帽子は行方不明に魔女服はボロボロになり二の腕や太ももを晒し地に伏した状態で気絶していた
中継を観ていた観客や実況者、解説者、大会運営委員会の人までもが何が起きたのか把握できないでいた
そして、一時の静寂の後キャーーーという悲鳴が木霊した
大会運営委員会は急いで中継を切断し医療班を向かわせた
幸い愛衣は一命を奇跡的に取り留めた
しかし、全身のあっちこっちに火傷を負い更に頭部を強く打った影響で記憶に障害がおき自分の名前すら満足に思い出せない状態になってしまっていた
もちろん、愛衣は世界大会に参加できなくなった
それによってリーダーだった愛衣を失ったチーム
繰り上がりでチーム6へ世界大会出場のオファーが、世界大会運営委員会から来た
が、チーム6はこれを拒否。日本から世界大会への出場チームは無しになった
大会運営委員会の調査によって今回の魔法暴走の事故原因が半分解明された
【この度の事故原因は
しかし魔力栞がなぜあのような暴走をしたのかは現在も調査中であり、判明でき次第追って公表させていただきます。
原因となった魔力栞の製作者の方に話しを窺いたいので、何か情報をお持ちの方は大会運営委員会までご連絡ください。
根本的な原因が解明されるまで
大会に出場する選手達は全員が魔法図書と魔力栞の審査を受けている
にもかかわらず今回の魔力栞暴走事故は起こった
原因を早急に究明しなければ日本で行われるその他大会の再開も絶望的となってしまう
日本大会運営委員会は原因の魔力栞を作った製作者を探すことにした
審査に持ち込まれた時の資料から、精密な図柄で作られたこの魔力栞はほぼ確実に特注のハンドメイド品であるのが分かっていた
そしてその魔力栞は6枚で一揃えのセットの物だった
チーム魔女のメンバーへの聞き取り調査で特別な効果があるものと判明した
それは、5枚の魔力栞の持ち主が受けたダメージを蓄積、魔力へ変換し残りの1枚へ転送するという今までに無い画期的なものだった
購入したのは黒坂愛衣本人でチームメイトは何処で手に入れたのか教えてもらえていなかった
しかし、チームメイトは愛衣を信じその魔力栞を使用していた
その為、製作者本人が名乗り出ないとなると魔力栞の解析で一年以上の時間がかかってしまう事態になる
大会運営委員会は血眼になって製作者を探しだす事にした
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