写真部と恋模様

夏風風鈴

モノローグ 子供の頃の写真

「写真には写らない美しさがあるから。」

 まだ小学校の一年生の頃だったかな。夏休みも中盤に差し掛かった頃。三十五度を超える暑さで意識が朦朧とする中、親父の作る味の濃いお昼ご飯を待っている時だった。親父のこだわりのKENWOODのスピーカーから流れていた一曲。低音ベースだが高音の抜けも申し分ない。聴いてて心地よい曲調だった。

 曲名は覚えていない。もう昔の頃だから。でもこのワンフレーズだけは頭から離れない。

「写真には写らない美しさって何?」

 子どもながらの素朴な疑問だった。ちょっと考えてみたけれど、当時の俺はなにせまだ6歳。分かるはずがない。

 すると親父はこう答えた。

「それは、空が大人になったら、きっと分かるよ。自分で考えて、自分で答えを見つけてみなさい。」

「うん!わかった!」

 俺はすぐに答えられる題目だと思っていた。しかし、一向に解けない。写真には映らない美しさなんてそもそも存在するのだろうか。

 

 そして、時間はあっという間に過ぎ、現在に至る。

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