日本今昔伝 ー集結する5つの伝説ー

やんぞー

第一章:昔々の未来

第1話【平和な世界】

むかし、むかし、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。

二人には子供はいませんでしたが、二人で貧しいながらも楽しい生活を送っていました。


ある時、おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行くと、

川の上流から大きな桃が流れてきました。

その桃を家に持ち帰り、割ってみると中から元気な男の子が出てきました。


またある時は、おじいさんが家具作りの為の材料を集めに竹林へ行くと

一つだけ光っている竹を見つけました。

その竹を割ってみると、すごく可愛らしい女の子が出てきました。


その子供たちは類まれなる才能を持っていました。


男の子は〈数多の動物と話すことのできる才能〉

女の子は〈どんな男でも自分の虜にしてしまう才能〉


子供たちは大きくなり、その才能を使ってそれぞれの目的を果たすと、みんな平和に暮らしましたとさ。


めでたし。めでたし。



-----

月日は流れて・・・

現在(20XX年)

-----



 高層ビルが立ち並び、スマートフォンもほぼ国民全員に普及し、もうすぐ空飛ぶ車が自由に行き来するであろう時代がやってきていた。

 ところが、おじいさんとおばあさんは生きていた!


おじいさん「はっはっはっは!また、わしの勝ちじゃな!」


おじいさん

本名:山本 源蔵(やまもと げんぞう)

年齢:1256歳(推定)

趣味:ギャンブル

 昔、光る竹を割った時に見つけた女の子。名をかぐや姫と名付けてそれはそれは大事に育てました。実は月から来たことを告げられ、帰らねばならないというときにもらった『不老不死の薬』。それを飲み、50歳ぐらいの時の姿のままでこの時代まで生き続けていたのである。


 そして、ギャンブル好きなおじいさんは今宵もとあるカジノにいた。


源蔵「はい!これでどうじゃ?またわしの勝ちじゃろ!わっはっはっは!」


男A「くそっ!このじじい強すぎるぞ!こうなったら・・・」


 この源蔵という男、長年生きてきたおかげで身についたものなのかもともと持っていたものなのかは分からないが、運だけはよくギャンブルにはめっぽう強かったのだ。それに昔からこの男は、


男A「へっへっへ。次は俺が勝たせてもらうぜ!じいさん!(このカードを入れ替えてしまえば・・・)」


源蔵「ゴルアァァァ!!!!!」


 源蔵は男Aに跳びかかった。


男A「いたっ!何すんじゃじじい!」


源蔵「そりゃこっちのセリフじゃ!お天道様が見逃してもわしは絶対に見逃さんぞ!」


 そう言って源蔵が男Aを締め上げると、男Aの服からイカサマに使用したカードがバタバタと落ちた。


源蔵「なんじゃこれは?あぁ!?」


男A「ちっ!知らねぇよ!って、い、痛い!離せじじい!」


源蔵「はいは~い!警備員さん、こんの悪ガキ連れていって下さ~い!」


 それに昔からこの男は喧嘩が強く、目がかなり良かった。なのでカジノではかなりの有名人。ギャンブルが強すぎて最初はカジノ側から警戒されていたが、イカサマを見抜く力とその腕っぷしから、今ではカジノ側からも重宝される存在となっていた。この前もある大きなイカサマグループを捕まえたところであった。


オーナー「源蔵様、今日もありがとうございました。」


源蔵「いいって!いつも勝たせてもらってるからね!それよりも、今の見た?わし、強いでしょ?かっこよかったでしょ?」


コンパニオンA「いつも通りかっこよかったわよ!源ちゃん!チュッ」


コンパニオンB「悪者やっつけたご褒美!チュッ」


源蔵「わーい!わーい!僕、君たちの為にもっとがんばりゅ!」


 源蔵は両手に女の子をそれぞれ一人ずつ抱いて高笑いをしていた。プロフィールに追加しておこう。源蔵の好きなもの、女の子。



 その頃おばあさんは川へ洗濯に・・・

ではなく、川を越えた先にある大きな美容整形外科病院にいた。


おばあさん「今日はどこを整形しましょうか?」


主治医「もう全身を整形してますから、もうする場所なんてどこもないですよ・・・」


おばさん

本名:山本 たえ(やまもと たえ)

年齢:1251歳(推定)

趣味:美容整形

 このおばあさんもかぐや姫からもらった『不老不死の薬』を飲み、歳をとっていなかった。それに加え、川から流れてきた桃を割ったときに出てきた男の子。名を桃太郎といい、立派に育った桃太郎は村を襲っていた鬼たちを退治して、その住処から金銀財宝を持ち帰ってきた。その財宝と現在おじいさんがギャンブルで稼いだお金を駆使して、身体全体を整形し、その姿はまるで20代の女性のようであった。


たえ「先生の目はどこについてるんですか!?」


-----ズバッ!!!!!

 たえは主治医の先生の目に向かって2本の指を立てた。


主治医「ノアァオォォ〜!!!!」


 主治医の先生は悶絶している。


たえ「よく見なさい!こことか、こことか、まだまだいろいろあるじゃない!」


主治医「そんな事言ってもですね...たえさん...」


-----ズブグッ!!!!!

 たえは先生の鼻の穴に指を突っ込んで言った。


たえ「せ・ん・せ・い!いつも言ってますわよね?」


主治医「ふ、ふぁい。」


たえ「レ・イ・カちゃんって呼んでって!」


 たえは鼻から指を抜いた。


主治医「レ、レイカ(たえ)さん...この前、整形したばっかりじゃないですか!な、何と言われようと今日はしませんからね!」


たえ「なんですって!?」


 主治医はたえの迫力にビビりながら内線の受話器を取った。


主治医「ひぃぃ!は、早く、患者さんに引き取ってもらって!」


 すると扉が開き数人のがたいの良い男達が入ってきた。


たえ「な、何よ!あんた達!」


男達「失礼します。」


 そう言って男達はたえをつかんで、持ち上げた。


たえ「あっ、男性のぬくもり。じゃなくて!あんた達!ちょ、ちょっと離しなさいよ!ま、まって。ね?お願いだから!ちょ、ちょっとぉぉ〜〜!!!」


 たえはそのまま病院の外へと放り投げられた。


たえ「何よ!この...イケメンやろぉぉ!!」


源蔵「お前それ悪口か?」


たえ「あっ...」


 たえはギャンブル帰りの源蔵とはち合わせた。




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