第七羽 ブルースカイ

 第七羽 ブルースカイ


 海より広い俺の心もここらが我慢の限界のようだった。


「妖精。話が違うぞ」


 部屋中に低音が響く。

 妖精は俺の出す低音にひるむことなく猫のように前足?を器用に使って顔を洗っていた。


「どうして新たに魔法少女が来るんだ」


 この家にはフキ、ミワの他に新たな魔法少女が訪れていた。


「まあまあ、お兄さん。落ち着いて」


 フキたちよりも年齢が高めの魔法少女。

 国民の知名度が最も高い魔法少女。

 国民的魔法少女とさえ言われる存在。

 魔法少女ソラ。


「あのソラがいるパフ。もっと驚いたりとかあるパフよ」

「そ、そそそ、そうですよ!」


 フキは目を回しながら呟く。


「あのソラさんなんですよ」

「あら。わたしのこと知ってるの?」

「知らない人はいませんって」

「そんなことより」

「そんなことって、お兄さんつれないなあ」

「おにいちゃんはミワだけのものよ。軽々しく呼ばないで」

「じゃあ、なんて呼べば?」

「説明を頼む。パフィー」

「きみ、よくこの状況で冷静に聞けるね」

「駄犬、かしら」

「キミ、お兄さんをダメ犬呼ばわりされて、そっちはいいんだ……」

「ちょっと、なんだか大切なお話し中ですよ」


 フキの言葉に飛び交っていた様々な言葉は落ち着きを見せる。


「フキを魔法少女にしたら、俺を魔法少女にしてくれるんじゃなかったのか」

「そうだったけ」


 久々に会ってみれば、意見を二転三転させる。妖精の所業とは思えない。


「パフィーは一人前の魔法少女に、と言った気がするなあ」

「絶対に違う」


 なんなら、録音をしているので聞かせてもいい。


「じゃあ、錯誤ってことで」

「一猪口前に法律を使いやがって」


 民法における錯誤の無効を使われれば、契約自体がなかったことになる。

 つまりは、俺と妖精との契約もなかったことになる。

 錯誤と認められるかは疑問だが、事実として、妖精は俺との契約をなかったことにするという刃物をちらつかせてきたのだ。

 悪魔か。

「フキが一人前になるためには魔法少女の先輩が必要だと思ってね」

「ミワちゃんはどうなんですか?」


 フキの言葉にパフィーはミワを見る。


「ミワ。きみは鷺宮家のものだろう?」

「ええ。あんたらにその名前を言われるだけで虫唾が走るんだけど」

「だから、大丈夫さ」

「どうして?」


 うーん、とパフィーは悩んでいるような素振りを見せる。


「鷺宮家というのは、妖精なしに魔法少女に変身できる一族なんだ。だから、その分、しっかりと教育は受けている。ミワはもう一人前の魔法少女だ」

「はあ」


 分かったような、分かっていないような顔をしてフキは答えた。


「で、フキを一人前にするためにソラに指導してもらおうと考えたんだ」


 確かに、フキが一人前の魔法少女になるためには他の魔法少女に指導してもらうことが重要だと俺は考えた。

 ミワの魔法体系は鷺宮家オリジナルなので、通常の魔法少女には符合しない。

 俺も魔法少女ではない以上、フキに多くのことを教えることはできなかった。

 箒に乗る際の知識はあっても、体験のない知識はゴミにも劣る。


「分かった。だが、妖精。約束は違えるなよ」


 パフィーはフッと笑った後、煙とともに消えていった。


 妖精という存在の考えていることはよく分からない。


 **********


「ということで、今日からお世話になります。ソラと言います。みんな、よろしくね」

「ちょっと待て。もしかして、ここに住むのか?」

「わたしはそう聞いてるんだけど」


 これ以上人が増えると騒がしくなる。

 別に部屋は十分空いているが……


「ミワは反対よ!」


 妹はそうはっきりと言う。


「ミワとおにいちゃんの家に、部外者が割り込んでくるなんて!」

「ミワちゃん!ここ、うちだから!私の家だから!」

「まあ、まあ。そこのおじさんがロリコンじゃない限り問題は起きないでしょ」

「確かにな」

「ちょっと待ってください。お兄様。この不埒もの目が夜這いする可能性は否めません。ただでさえ、ケダモノがいるというのに」

「それってわたしのこと?」

「それ以外に誰がいるって言うのよ」

「あははははは」


 ソラは面白おかしそうに腹を抱えて笑っていた。


「色々とあるだろうが、これも俺が魔法少女になるためだ。ミワ。辛抱してくれ。それと、そろそろ学校に行かなければな」

「そうよね。そこの青いの。あなた、まさか学校まで同じとは言わないわよね」

「青いのってわたし?わたし、中学生だよ?小中一貫校に一夜にしてならない限りはない、ない」


 **********


「してやられたわね」


 いつもの小学校。

 だが、表札は学園となっている。

 小中一貫校となっている。


「あー、やっぱりね」


 ソラは呆れたように言った。


「これも妖精の仕業か」

「恐らくこの土日にいろいろとやったんでしょうね。案の定といったところだけど」


 俺は少しソラの言葉が気になる。


「妖精とは付き合いが長いのか?」

「あれ?わたしを狙ってる?」

「……」


 俺が黙っていると、ソラは小さくため息をつく。


「冗談が通じないのね。まあ、いいわ。あのパフィーって言う、時々語尾を忘れるやつとはちょっとね。とはいえ一年ほどだけど」

「そうか」

「鷺宮家なら、妖精と関わることないんだ」

「俺は男だしな」


 俺は何事もなく校門をくぐる。


「キワムさん。ちょっとは驚きましょうよ」

「何を驚いてる。授業が始まるぞ」


 **********


「……」

「……」

「…………」

「……?」


 そう。

 俺のクラスにミワが来る所まではわかる。

 なにせ、お約束だからな。

 どうせ、こうなるとは分かっていた。

 だが――


「どうしてお前がいるんだ」

「お前なんて言わないでよ。ソ・ラ・ちゃん、って言って?」

「……」


 ソラは小学六年生の集う教室の席に陣取っていた。

 中学部の制服の上に白衣を纏って。


「白衣って、白銀聖衣に似てるよね」

「それは昔やった」


 何故、ごく普通に教室にいるのか。

 ミワとフキは何とも言えない顔をしていた。


「いやあ、保健の先生って、なんだかんだで自由じゃない?」

「全く理由になってないが」

「ソラ。あなたにこれだけは言っておかないといけないことがあるの」


 ミワは立ち上がって、教室の最後列にいるソラにきっと指をさす。


「あんたが強烈なキャラを発するせいでミワのキャラが目立たないわけ。ミワだって最近出たばかりなの。出番を取らないで」

「それなら、白衣を着ればいいじゃない」

「そう言うことじゃないと思うけど……」

「あなたはどっかのギロチンされた王女なの?」

「小学生がギロチンとか……」

「授業を始めるぞ」

「おにいちゃん、ここははっきりと話をつけておかないと」

「おお。順応早いね。流石わたしらのマネージャー」

「俺はマネージャーになったつもりはないが」


 だが、教師をしないといけない。


「うん?俺ってなんで教師なんかしてるんだ?」

「ああ、そういうことありますよね。俺は一体何やってるんだろうって」

「おばさん。ちょっと黙っていてくれる?」

「誰がおばさんじゃい」

「三年も年上だと、ね」

「その笑い方、すっごく腹立つな」


 いつの間にか無職ではなくなり、魔法少女ではなく教師に就職している。

 いや、正確にはバイトみたいなものなのだが。


「まあ、いい。授業を始める。ソラ。お前もそろそろ授業に行った方がいいんじゃないか?」

「ま、そうか。また嫌な授業とかあったら遊びに来るから」

「遊びに来るな!」


 ミワは大声で教室を出て行ったソラに怒鳴る。


「全く、嵐のような女だな」


 ただ、魔法少女たちが仲良くやっていけそうなので俺は少し安心した。


 **********


 体育の授業中、俺はぼんやりと生徒たちが走っているグラウンドを見ていた。


「いやあ、元気だね。今の私たちじゃ、あんなに走れないわ」

「中学生が何を言っている」


 白衣を着たソラが俺とソラしかいない教室で生徒たちを見つめていた。


「本当に先生が板についてるわ。このまま教師になったら?プロデューサーさん」

「誰がプロデューサーだ」

「え?男って、プロデューサーって呼ぶと興奮するんでしょ」

「一体何をプロデュースするんだ」


 あははは、とソラは笑う。

 何かあるごとに笑う女だった。


「どうして、先生はさ、魔法少女になりたいわけ?」

「プロデューサーじゃなかったのか?」

「どっちでもいいじゃん。ちゃんと答えてよ」


 答えは出ている。


「魔法少女になりたいからだ」

「どうしてなりたいの?」

「それが俺の夢だからだ」

「なにかきっかけとかあるんでしょ?」

「……」

「どうなの?」

「きっかけなどなくてもなりたいものはあるだろう。そういうお前はどうなんだ?」

「何のことよ」

「なりたいものはあるのか?」


 そう聞かれて、ソラは悩んでいるように天井を見上げる。


「そうねえ。なりたいものくらいはあるわよ。なれるかどうかは別にしてさ」

「諦めているのか?」

「まあね」

「何故だ?」


 俺にはよく分からなかった。

 まだ中学生であるソラは俺と違ってまだまだ可能性が残っている。

 だから、何かになれないなんてことはない。


「だって、それが現実でしょう?ちょっと考えてみれば分かるの。だって、どんな子どもだって、初めは夢を持っている。でも、叶わないまま大人になるじゃん。だから、わたしの夢も叶わない。それが現実なの」

「お前の夢はそんなものなのか?」

「え?」

「お前の夢はそんな簡単に諦められるものなのか!」

「何を怒ってるのよ」


 これが怒らずにいられるだろうか。


「お前は俺が今なりたいものだ。それを何の努力もなしに手に入れている。お前は俺をバカにしているのと一緒なんだ。人はな、どんな時にも夢を忘れない。どれほど心が壊れようとも、夢だけは忘れないんだ」

「そう」


 ソラはつまらなさそうに言った。


「でも、わたしは子どもじゃないから、叶わない夢だってあることは知ってる。夢は叶うなんて言っている大人なんて、みんな夢をかなえ終わった後の抜け殻じゃない」

「夢は叶う」

「決して敵わなくても?」

「叶う」

「そう」


 俺にはソラが何を言いたのか理解できないでいた。


「ソラはどうして魔法少女になった。叶わない夢を叶えるために、か?」

「違うかな。別に何か決意とかがあって、なったわけじゃない。わたしがならないと誰かが困ると思ったからってだけ。それにさ、きっとわたし、自分の夢が叶わないなんて少しも思ってないと思うんだ」

「でないと生きてはいないさ」

「先生が言うと説得力あるわぁ」


 その時、グラウンドに歓声が響く。

 ミワが高跳びを成功させたみたいだった。


「おお。ちらりと見えるおへそが最高ですなあ」

「お前はオヤジか」


 次はフキの番だった。


 失敗した。


「あちゃー。惜しかったのにね」

「でも、フキは諦めないさ」

「……」


 ソラが俺を見つめてくるので、気になって、そちらを向く。


 しばらく見つめ合っていると、再び歓声が轟いた。


「ほら、な」


 フキが高跳びを成功させたのだった。


「うーん」


 だが、ソラは浮かない顔をしている。


「先生はフキちゃんの方が好きなの?」

「何のことだ?」

「……」


 再び見つめられるので、俺はソラを見つめ返す。


「ギャルゲ攻略のためには、女の子の気持ちを知らないとダメだよ?」

「だから、何のことだ」


 授業のチャイムとともにソラは教室から出て行く。

 俺には何が何やら分からぬまま、時間が過ぎていったようだった。


 **********


「さて。修行の時間ね」

「オッス!」


 俺とフキは元気よく答える。


「おにいちゃん。こんなババアのノリに乗らなくていいから」

「こら、そこ!わたしをババア呼ばわりしない!」


 ソラは指笛を吹いた。


「とにかく、修行とやらを始めなさいな」

「そうだったわね。さて、そっちのミワちゃんは魔法少女の名門出身だから多くのことを知ってると思うけど、フキちゃんはどう?」

「何も知らないです。箒さえ乗れませんし」

「なるほど、なるほど」


 ソラは悩んでいるような素振りを見せる。


「箒は空を飛ぶイメージが大切なのよね。それさえできれば、モップで出も空が飛べるし。とにかく、次の授業までに魔女の宅急便を見てきてね。まあ、恋しちゃったら飛べなくなるってこともないけど。どっちかというと、恋すると豚の方が飛べなくなっちゃいそうだけど」

「キワムさん。ソラさんは何を言っているんですか?」

「え?今の子、ジブリネタ分からない?めがぁあ!めがぁあ!は?」

「すいません」

「今の子はでずねーなの?それともピクサー?あれ?今、でずねーに買収されたんだっけ?」

「おばさんネタはいいの。今日は何を教えてくれるのかしら」

「そうそう。今まで戦ってきた敵って二人とも、ワームだけよね」

「その言い方だと、他にも敵がいるようですが」


 フキの言葉に一同は黙りこくる。


「突然の新展開でごめんだけど、実はいるの。ワームなんて雑魚に思える魔法少女最大の敵が」

「それは……」

「魔女、だ」


 俺は言った。


「魔女?」

「魔法を使い、ワームに味方する者たちだ」

「それ以上は分かっていないけど、向こうも魔法を使ってくるっていうことはどういうことか分かるでしょう?フキ」


 ミワが言った。


「魔女はやっぱり一筋縄ではいかないのよね。だから、今日は修業というのもあるけど、それぞれの魔法の特性について知っておきたくてね。ミワちゃんの魔法はどんな魔法?」

「なんであんたに教えないといけないの?」

「いざというとき大変じゃない?魔法同士にも相性があるし」

「ミワのことはおにいちゃんだけ知ってればいいの。ね?」

「そうだな。あまり鷺宮家の事情を奴らに知られるわけにもいかんのでな」

「そう。じゃあ、フキは?」

「え?分からないです」

「フキはまだ固まってないのよ。系統が」

「なんですか。その系統って」

「なんというか、魔法の個性っぽいやつ、かな。見せた方が早いか」


 ソラはバトンを取り出し魔法を使う。


 現れたのは巨大なダビデ像だった。


「うーん、今日もイケメンね。ダビデは」

「お、お×ん×んが――」

「ダビデってロリコンだったのよね」

「ぎゃああああ」


 フキは目を覆って、奇妙な声を上げる。

 ソラは苦笑いしながら、ダビデ像を消す。


「わたしの能力はこんなの。まあ、魔法少女はどんな魔法でも使えるけど、特に得意って感じかな。得意なものほど、咄嗟に出しやすいから。わたしの魔法は想像したものを物質化できるってやつ。あれね。ハンター・ハンターでいう、具現化系ね」

「よく分からないです」

「ま、こういうのだって覚えておいて。フキちゃん、バトンとか箒を出したことあるでしょう?これも具現化系みたいなもの。具現化系は具体的に想像できれば想像できるほどリアルに近づくからね。それが難しいところでもあるんだけど。ちょっと才能みたいなのがいるかも」

「私はなにが得意なんでしょうか」

「うーん、水見式とかあればいいんだけど、そんなのないからね。地道に、いろいろ試してみるほかにないかな」


 そうして、ソラとフキとの特訓が始まった。


 *********


「今日は疲れたねー」

「私が一番疲れたんですが」

「このくらいでへたるなんて情けないわね。おにいちゃんはすごいわよ」

「な、なにが凄いっていうんですか!」


 少女三人は楽しそうにしゃべりながら下校していた。


「しかし、安心だな」

「何が安心なの?」


 俺の独り言を聞き取ったソラが尋ねる。


「みんな仲がよさそうで」

「いやー、でもお兄さん。いろいろと分かりませんよ。わたしたち女の子なんですから」


 ソラはからかうように言う。


「こら。おにいちゃんをおにいちゃんって言っていいのはミワだけなんだから!」

「お兄さんだし?」

「まあまあ。キワムさんの呼び方なんてどうだって――」

「おお?名前で呼んでるなんて、恋人みたいじゃない?」

「……」


 フキは妙な気配を感じ、ミワを振り向く。


「おにいちゃんはミワだけのものだもん!」


 ミワは泣きながら俺に抱きつく。


「ミワ。スーツが汚れるだろう」

「マーキングだもん。もう、二度とおにいちゃんは離さないから」


 俺とミワを神妙な顔つきで見つめる二人に気がついた。


 **********


「ほら。風呂に行って来い」

「セクハラ?」

「違う」


 俺はそう言うフキとミワを風呂に行かせる。


「悪いな。ソラ。夕飯を作るのを手伝ってもらったばかりでなく、食器洗いまで」

「こういうのは、適材適所ですから」


 ソラの手際はとても要領がよかった。

 まだ中学生であるというのに、専業主婦のようなオーラを醸し出している。


「なんだか失礼なことを考えてません?」

「いや……」

「おばさんだとか思ったんでしょう?そりゃ、ロリコンからしたら、ぎりぎりなところなのかもしれませんが!」

「俺はロリコンじゃない」

「じゃあ、わたしのこと、好きですか?」


 突然のことで答えに困る。

 きっと、言葉通りの意味ではないだろう。

 そもそもに、だ。


「冗談です。別にわたしはキワムさんのことが好きでもないですよ。ただ、時々、誰かに好きになっていてもらわないと不安になるだけで。あー、わたし、何を言ってるんだろ」


 きっと、中学生の心境は複雑なのだろう。


「先生は、誰が好きなんですか?」


 誰が好きか、と問われても困る。


 ただ、誰かを好きだったことだけがずっと、俺の胸に残っている。


「やっぱり、フキちゃんですか?」

「どうして」


 俺は特定の誰かを懇意にしていると思われないようにみなに公平に接しているつもりだ。

 だが、そう思われるところがあったのだろうか。


「なんとなく、視線がいやらしい」

「そうか。気をつける」


 すると、ソラは唸る。


「そういうことじゃないというか……難しいなぁ」


 食器を洗い終わり、ソラはふらふらとリビングの方へと歩いていく。


「わたしたち、はどうして生きてるんでしょう。先生」


 ソラは俺にそう尋ねた。


「魂を抜かれた亡霊のように夢を追い求めるためだ」

「先生が言うと説得力あるなぁ」


 ソラは感心したように頭を縦に振る。


「そうだ。わたしたち、決め台詞を考えないと。いや、それよりさきに、ロリどもの発育具合を調査しにいくか!」


 そう言ってソラは風呂の方へと駆けだしていった。


 **********


 皆が寝静まった後、俺は空を見ていた。

 雲のかかった夜空。

 そこには今にも落ちて来そうな大きな白い月がのぼっている。

 月の光に雲が照らされ、雲の白が映えている。


 そんな月が一瞬にして赤く染まる。


「ミヤ……」


 俺は忘れられぬその名を呟いた。

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