episode.2 角倉

第35話




PM12:40___



カツン、カツン、カツン__、


屋上からの階段をゆっくりと降りていく水嶋。



詩織「カレンさん!」


カレン「………………、」


すると、下から上村が勢いよく水嶋に向かって駆け上がってきた。


カレン「ご苦労さま…ちゃんと誘導出来たみたいね……よくやったわ……、」


上村にそれだけ伝えると、水嶋はどこか冷たい表情で上村の脇を通り過ぎ、ゆっくりと階段を降りていく。


詩織「大丈夫…ですよね?……ちゃんと“計画”は……進んでるんですよね……?」


上村は不安な面持ちで上から水嶋に問いかける。


カレン「…………大丈夫…今のところ何も問題はない…すぐにここから離れなさい……詩織、アナタまで怪しまれたら元も子もないわ……すぐに長谷川 雅紀の所に戻りなさい……、」


水嶋は足を止め、後ろを振り向くことなく上村に言いかける。


詩織「はい……何かあったら…また連絡をください…、」


上村は水嶋の顔色を覗き込みながら伝えると、急いで下に降りて行った___。


カレン「…………………………………、」


水嶋はやり切れない気持ちでいた__

佐々木の心からの謝罪の言葉が聞けなかったからだ___、

佐々木の性格上、それを言わせることが難しいことは水嶋は承知の上ではあったものの、

どうしても死の間際に、彼女自身からの中西美咲に対しての謝罪を聞きたかったのだ___

いまはもう、叶わないことではあるが___、


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