第33話

カレン「いまのアタシは…二度目の人生を送ってるつもり……、

一度目の人生は中西美咲として生きた15年間………、

でも今は…水嶋カレンとして二度目の人生を送れている………、

変な話だけど…アタシはいま…神様に生かされている気がするの………、」


明日香「……………………………、」


カレン「さっきの言葉は全て…中西美咲の言葉をアタシが代弁したと思ってもらいたい……、

佐々木さんにも…分かってもらいたいの……死に直面した人間の気持ちを………、」


明日香「……アタシ……アタシ……、」


カレン「そこから飛び降りても死なないようになってる…、」


明日香「えっ…ほん…とに……?」


カレン「……実際に殺したところで……アタシには後味の悪い結果しか残らない……、

ほんとに死んでほしいとは思ってない……、

ただ…分かってほしいだけなの……中西美咲の苦しみを少しだけでも……死ぬことがどれだけ怖いものなのかを……、」


水嶋は涙ぐみながら佐々木に言及する。


明日香「…………死な…ない…なら………、」


佐々木の足はゆっくりと…そして着実に屋上のフェンスに向かって歩み寄って行く__、

すでに佐々木の意識は混乱していたのだ__、


カレン「大丈夫…下にシートが敷いてある…飛び降りても…足が少し痛むだけ………、

アタシを…信じて…ほしい……、」


明日香「……………………………、」


佐々木は後ろにいる水嶋を虚ろな目でじっと見つめている。


カレン「………アタシを…信じて………中西美咲の償いを……しましょう………、」


明日香「………………う…ん……………、」





スッ__、





佐々木は何かにすがるように、そして何かから逃れるようにその身を屋上から投げ出した___、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る