第16話
無我夢中だった_、
ただひたすら、闇夜の通学路を
優は風を切りながら走っていく__、
まるで自分だけの感覚が早くなったかのように__、
いつもの通学路が初めて来た場所のようにも感じた___、
潮彩高校___
PM20:40____
優「もしもし!?水嶋!?いま着いた!どこにいる!?」
全速力で走ってきたにも関わらず優は息一つ切らさず水嶋の居場所を聞いた。
カレン『……体育館裏の……倉庫……、』
優(体育館裏の倉庫……?……どうしてそんなとこに……、)
優は恐ろしい想像を頭の中に募らせながら、体育館裏の倉庫へ再び走り出す。
これから目撃する真実から逃避するかのように……、
体育館裏___
優「あ……水嶋……、」
すでに体育館裏には水嶋以外にも部活終わりの生徒や顧問らが倉庫の周りでごった返していた。
優「水嶋………遊也………は?」
カレン「あの倉庫の中で…倒れてる……、」
水嶋は先程よりもだいぶ落ち着いたらしく、倉庫の方に指差しさっきよりもはっきりとした口調で説明する。
優「水嶋が…第一発見者……?」
カレン「いや…アタシよりも先に部活終わりの生徒が発見していたみたい……、」
優「……………マジ…かよ…………、」
優は不思議とその現実を受け入れたかのように、ただ真っ直ぐ生徒達がごった返す体育館裏を見つめていた。
優「警察は?」
カレン「部活の顧問達が呼んだみたい……直に救急車も来る……、」
優「………倒れてたって…どんな感じだったの………?」
カレン「頭を…金属バットか何かで殴られてたみたい……倉庫内が…血まみれみたい……、」
優「誰が……そんな…こと……、」
それからしばらくした後、警察と救急隊が駆けつけ校内は騒然とした__。
一夜にして起きたこの事件は、潮彩高校の生徒達の記憶に深く刻み込まれることになった___、
予期せぬ事態に戸惑いの色を隠せない優は、ただひたすら目の前の現実から逃れるように、遊也とのくだらない思い出を脳内で蘇らせるだけであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます