第14話
『近鉄をご利用頂き、ありがとうございます。この電車は、大阪上本町いき、急行です。途中―――』
高田から近鉄に乗る。乗ったのは、皆大好き、5200系だ。近鉄は週一の頻度で乗っている。亜矢美は乗るのは久しぶりだそうな。
「この車両って、オール転換クロスシートなんですね。221系と違って。」
「221は車端部がボックスシートやからな。」
俺達は隣同士座っている。未だに隣に女子が座っている事に馴れない。
でも、これは
そうこうしていると、ブーブーと亜矢美のスマホが震える。
「あっ、例の幼馴染みです。二人のツーショットを送って、だそうです。先輩いいですか?」
「まあ良いけど。それLINE?一応やけど、個人情報保護法に基づいてその写真をネット上に投稿するとか無いか確認してくれる?」
「えぇ~。面倒だし、先輩、文字一回打って見ませんか?」
亜矢美が上目遣いで聞いてくる。もちろん即効OKだ。
「えっと、これどうやって文字を打つ画面にすんの?」
俺はLINEどころか、スマホすらまともに使ったことがない。唯一使っているのは、ガラケーのCメールだけだ。
亜矢美は驚いたけど、直ぐに納得した。
「このボタンです。」
亜矢美に教えてもらい、文字を打っていく。
『別にツーショットを送るぐらいなら良いですが、個人情報保護法に基づいて、ネット上に画像を投稿して、第三者が閲覧できる様にする事などがないことを誓ってください。亜矢美の彼氏より。』
09 18
直ぐに既読という表示がでた。
「あっ、先輩。彼が読みましたよ!」
『了!』
09 19
何だこれ。『了!』って。
「なあ亜矢美、この了!って何?了解って打ったけど間違えて消しちゃったんかな?」
「あっこれは了解を省略して、わざと打ってます。」
「俺のこと、からかってるんか?こやつ。」
「いや、これが普通です。」
なんか凄い。違う国の言語みたいだ。
今日初めて触ったLINEの画面は、俺のCメールの画面に似ていた。
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