第18話 エッシャーの騙し絵
私が愛したのはあなたの優しさであってあなたじゃないの。
あなたのクシャッとした笑顔であってあなたじゃないの。
不器用な泣き方であってあなたじゃないの。
拗ねた時、片方の頬を膨らませる仕草であってあなたじゃないの。
だからあなた言う「愛してる」の言葉に私は素直に頷けないの。
だって私はあなたのことを愛しているわけではないの。
あなたをあなたたらしめるものを私は愛しているのだから。
エッシャーの滝の様に歪で幾何学な錯覚的な愛
周りから見れば完璧にも見える風景すら錯覚なのよ。
真っ直ぐ進んでる筈がいつの間にか
左へ行ったり右へ行ったりしている。
それでも周りからは真っ直ぐ進んでいる様に見えるの。
あなたは頭を傾げるでしょう
それでいいの。
あなたがそれを分かってしまったら、私はあなたといれないもの。
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