第7話 異世界での遭遇
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「……!」
「……!?」
どこからか声が聞こえてくる……
「おい……」
「まさか、妖精か……?」
うん……?
うるさいわね……
「こんな人里の中に妖精が来るかな?」
「でも、それしか考えられねえだろ。」
ちょっと……うるさいわよ……
まだ、ねむいんだから……
「でも、妖精にしちゃ羽がないな?」
「ほんとだ……亜種かな?でも、すげえ綺麗だ……」
もう、なによ……誰?お母さん?
部活はもう引退しているんだから、まだ寝かせておいてよ……
……
ん!?……お母さん?風邪でもひいたのかな?隨分野太い声……
「ねえ、ちょっと触ってみようよ」
「そうだな……生きてんのかこいつ?」
つんつん
ちょ……痛い、なに?
「うお、やわらけぇー……。でも、適度に弾力もあって良い……」
「マジかよ!俺にも触らせろ」
つんつん
「ほんとだ……俺ちょっと感動したわ」
「……妖精って良い身体してんだね……」
痛いのよ!なに?グーで起こそうとしてんのよ?
もう我慢できない!
「ちょっと、痛いわよ!!」
そう叫んで私は飛び起きた。
「うわっ!」
「しゃっ……しゃべったあ!!」
え…………なに!!?
なに、これ!!?
目の前のあまりにも予想外な状況に私は大いに混乱した。さっきまでの眠気なんて全て吹き飛んだ。すぐ私の目の前には呆気にとられた男がいた。腰を抜かして、後ろにのけぞっている。
だ……誰!?
だが、そんなことより、もっと重要なことがあった。男の様子が明らかにおかしい!
大きすぎる……!!?
目の前にいる男は私の視界いっぱいを占有していた!こちらを見ている顔の大きさだけでも私の身体以上の大きさがあるようだ。私も女子では体格は大きい方だが、そんなレベルの大きさではなかった。
普通の人間の何倍もでかい、まさに巨人だった!!
よく見ると隣にも誰かいる……
「こっ……こいつ今しゃべったよな!」
「あ……ああ、間違いねえ……」
隣にいる男も目の前にいる男と同じくらい大きな体躯を持っている。二人とも呆気にとられている様だ。だが、それはこっちも同じだ。
なに?なに?なに?なに?なに?
どうなってんのよ、これ???
なんなの?この巨人は!?
私いまどうなってんの!?
状況が全く分からないんだけど!!?
余りにも驚くと声が出なくなるという話を聞いたことがあるが、私の今の状況がそれだった。頭の中の時間が完全に停止している。真っ白だった。目の前の巨人を認識しているし明らかに今の状況が異常だというのは分かっている。
私がいる。目の前に巨人がいる。お互い驚いている。
だが、そっから先が進まない。延々とこの思考がループしている。状況が把握できたとしても、その理由が全く思いつかないのだ。余りにも突飛な状況に遭遇していて、思考に集中出来ない。このまま永遠に思考のループが続くかと思われた。
ところがそんな中、呆気に取られていた私の手から何かがこぼれ落ちた音がした。
パサりっ
それは巻物だった。
まきもの?
なんだっけこれ?
なんか見覚えがある・・・
私はそれを拾って眺めてみた。
……まきもの……巻きもの……巻物……
はっ!!!
その瞬間ふっと思い浮かんだものがあった。
ま……
まさか……
これって……
この状況って……
でも、それしか考えられない……
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