19#アホウドリの島の漂泊ゴミ変換大作戦!!
ぼい~~~~~ん。
「これは・・・」
「でっかい巨大風船?!」
「でも、助かったみたい。」
「でも、誰が巨大風船をここに?」
砂利山から脚を滑らせて滑落したフラミンゴのベキィとアホウドリのソアラは、突然現れた巨大風船の上でキョトンとした。
「あれ?」
アホウドリのソアラは、太い嘴の鼻の孔を巨大風船に近づけてクンカクンカと嗅いでみた。
「このゴムの匂い・・・ハクチョウの女王様師匠の吐息の鳥臭い匂い・・・」
「アホウドリさん!!あの空のむこう側を見て!!」
「フラミンゴさん・・・あーーーっ!!」
アホウドリのソアラとフラミンゴのベキィは、遥か向こうの空が金色に輝いているのを発見した。
「金色の光が・・・」
「近づいてくる・・・」
「でも、何か・・・」
「見たことがあるシルエットが・・・」
「あーーーーーっ!!」
アホウドリの島を旋回する水鳥達は、迫ってくる金色の光に大騒ぎした。
「ハクチョウの・・・あれ?王様は・・・」
マガモのマガークは、辺りを見渡した。
「俺はここにいるぞ・・・はて?」
「女王様ぁーーー!!」
「女王様が飛んでいる?!」
「女王様って・・・魔術と引き換えに飛べない身体じゃななかったっけ?!」
「でも・・・何で飛んでるんだ?女王様?!」
「女王様の隣に、ヒドリガモとアヒルも居るぞ?!」
「あれ?アヒルって空飛べたっけ?!」
翼を大きく拡げ、金色に輝かせて飛んできたハクチョウの女王様は、満面の笑みを浮かべてハクチョウの王様の隣にやって来た。
「王子様ぁーーーーー!!じゃなくて本名フリードぉーー!!」
「なあに?女王様!!」
「う~ん!女王様じゃなくて、本名のメグって呼んで!!」
「じゃあ・・・メグ。」
「なあに?フリード。」
「この『大作戦』と、湖に帰って風船の『儀式』終わったら直ぐに子作りしよーー!!久しぶりに卵産みた~い!!」
「な、なあに?!唐突に?!う、うんーー!!いいともーーーー!!」
「『飛んでる』女王様、すげーハイテンションになってね?」
「こんな女王様みたことねぇ!!」
マガモのマガークとカルガモのガスタは、顔を見合せて驚愕した。
「わーーーーい!!うれしーーーー!!」
ハクチョウの女王様は、翼をプラスチックゴミがプカプカと大量に浮かぶ海に向かってバッ!!と振り上げた。
ぷくぅ~~~~~~~!!
ぷくぅ~~~~~~~!!
ぷくぅ~~~~~~~!!
ぷくぅ~~~~~~~!!
ぷくぅ~~~~~~~!!
ぷくぅ~~~~~~~!!
ぷくぅ~~~~~~~!!
ぷくぅ~~~~~~~!!
漂泊ゴミは次々とゴム風船のように膨らみ・・・というか、ゴム風船そのものになり、
ぷしゅ~~~~~~~~!!
と空気が抜けて吹っ飛び、次々とヒドリガモのカロとアヒルのピッピの背負っている篭の中へ萎んだゴム風船がストライクしていった。
ぷくぅ~~~~~~~!!
ぷくぅ~~~~~~~!!
ぷくぅ~~~~~~~!!
ぷくぅ~~~~~~~!!
ぷくぅ~~~~~~~!!
ぷくぅ~~~~~~~!!
ぷくぅ~~~~~~~!!
ぷくぅ~~~~~~~!!
ぷしゅ~~~~~~~~!!
ぷしゅ~~~~~~~~!!
ぷしゅ~~~~~~~~!!
ぷしゅ~~~~~~~~!!
ぷしゅ~~~~~~~~!!
ぷしゅ~~~~~~~~!!
ぷしゅ~~~~~~~~!!
ぷしゅ~~~~~~~~!!
ぽいっ!ぽいっ!ぽいっ!ぽいっ!ぽいっ!ぽいっ!ぽいっ!ぽいっ!ぽいっ!ぽいっ!ぽいっ!
「ハクチョウの女王様!!何で漂泊ゴミを風船にするんだよ?!
余計なことをしないでよ!!」
アホウドリのソアラは奮起して、から飛び立った。
「アホウドリさん!!待って!!」
フラミンゴのベキィはアホウドリのソアラの後を追って、段々空気が抜けて表面のゴムがシワだらけになった巨大風船の上から飛び立った。
「ちょうど良かった!!フラミンゴちゃん!!あんたも風船拾いに手伝って!!」
「!??」
脚をハクチョウの女王様の嘴で掴まれたフラミンゴのベキィは、必死に翼をはためかせてもがいた。
ぽん。
「はい!!ショイカゴ装着!!」
「えーーーー!!」
フラミンゴのベキィは卒倒してしまった。
「ほーら!!カモさんもガンさんもショイカゴして!!ほーら!!手伝いな!!」
ぽん!ぽん!ぽん!
ハクチョウの女王様に投げ込まれたショイカゴは、カルガモのガスタとマガモのマガーク、そしてカナダガンのポピンの背中に次々と装着された。
「女王様ぁ!!そりゃないよー!!」
「僕ら、いったい何しに来たんだよぉ!!」
「早く湖にかえりたいんだーーーー!!」
3匹の水鳥はブーイングした。
「あーら!!湖に帰ってきたら、美味しい魚をゴチさせようとしたのに!!
全部食っちゃうよー!!」
「はいはい!!」「分かった分かった!!」「また湖に生息する外来魚・・・」
「今何言った?カナダガン?」
「何でもないっす!!やりますよ!!女王様!!どんどん魔術風船変換してくださーい!!キャッチしまーす!!」
「解ればよろし・・・あーーーーっ!!」
ハクチョウの女王様は、遥か上空に逃げようとするアオサギとカワウを見つけて、アヒルのピッピに耳打ちした。
「ピッピ、あの山の麓に萎んでるあたしの巨大風船を持ってきて、あの2羽に投げつけてきて!!」
「はーい!!」
アヒルのピッピは、滑空して今さっきフラミンゴのベキィとアホウドリのソアラの乗っていた萎んでる巨大風船を嘴にくわえて持っていこうとした。
「!??」
じゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃり!!!!
「うわっ!!」
アヒルのピッピの上から、夥しい数の石礫が飛んできた。
じゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃり!!!!
どばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどばどば!!!!
「ふー。なんだよ。あれ?」
アヒルのピッピは、翼を拡げても飛べなくなってしまった。
「あーーーーっ!!尾羽のクジャクの羽根取れちゃった!!」
「はい。」
フラミンゴのベキィはクジャクの羽根をくわえて、オロオロしているアヒルのピッピに渡した。
「ありがと。フラミンゴさん。」
じゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃりじゃり!!!!
「また来たわよー!!石礫!!」
フラミンゴのベキィとアヒルのガーコは、慌てて降ってきた石礫から逃れた。
「よいしょ!!尾羽にクジャクの羽根付いた!!
心配かけてごめんね!!あたし、尾羽にクジャクの羽根を付けないと飛べないの!!」
フラミンゴのベキィとアヒルのピッピはランデブー飛行して、必死に魔術を使って漂泊ゴミを石礫に変えているアホウドリのソアラに怒った。
「アホウドリさん!!ちゃんと下の安全見て魔術つかいなさいよ!!
危うく私達か生き埋めになるとこだったわ!!」
「ごめんなさい!!僕がアホウでした!!
でも、本当の『アホウ』はあの山にいっぱいいますけど・・・」
空を滑空しながら飛んでいるアホウドリのソアラの目の矛先は、やんややんやと漂泊ゴミを風船や砂利に変わる様を歓声をあげて騒いでいるアホウドリ達の群れだった。
「やーね。あのアホウドリ達・・・」
フラミンゴのベキィは拗ねた。
「あ、巨大風船を投げるの忘れてたわ!!・・・あれ?」
砂利を避けて拾った巨大風船の端をくわえて飛んでいたアヒルのピッピは、呆気に取られた。
「ほーらーー!!ちゃんと受け止める!!」
「ボーッとしてんじゃねーよ!!」
アオサギのニードとカワウのアルゼは、『バードランド』からやって来た、ハクチョウの女王様の息子のブルンガ大王と、
召し使い能力鳥の『粉砕鳥』アカショウビンのピルとカワセミのタック、
『物質変換鳥』トビのバーグ、
『沼地造成鳥』マガモのリヤン、
『時間操り鳥』トキのモモ、
そして、この『バードランド』から鳥達を呼んできたコクチョウのブラッキィとペリカンのオギにこき使われていた。
「ああ、君達はいつぞやの。僕の故郷のプラスチックゴミを風船にして持っていってありがとうございまーす。」
『風船カモメ倶楽部』の漂泊風船拾いを手伝っていたウミガラスのアデルは、ブルンガ大王と『能力鳥』達に軽く会釈をした。
「そういう君も、少しはあのハクチョウの女王様に修行して、風船なり物質変換能力とか身につけたらどう?ウミガラス。
あのヒドリガモ。あれから『バードランド』にも鍛練で来たけど、防鳥網に飛んできた鳥がぶつかる前に網から風船を吹き出させて跳ね返させる『安全能力』、充分身に付けたじゃねぇか。
同じ『安全能力』持ちの、風力発電所から鳥達を守ってるイヌワシも感激した程だよ?
どうだ?ウミガラス。」
「うーん・・・」
ウミガラスのアデルは、深く考えてしまった。
「ごるぁ!!アオサギ!カワウ!よそ見してねぇで、俺らの変換した風船を全部拾え!!」
「ハーイ。」「解りましたー。」
『能力鳥』にハッパをかけられて、せっせと漂泊ゴミを『能力鳥』に変換した風船をアオサギのニードルとカワウのアルゼが黙々と、ショイカゴに入れている向こう側では、マガモのマガークとカルガモのガスタが女王様が変換した風船をショイカゴに拾いながらひそひそ話をしていた。
「おいおい!!観たかよ!!女王様が何で飛べたか?!」
「確かに女王様の後ろの尾羽に、あのクジャクの尾羽がいっぱい付いていたぜ?」
「まさか?ハクチョウの女王様は、『魔力』と引き換えに飛べなくなった筈・・・」
「『飛べる』能力のうえに『魔力』まで使えるとすれば・・・あの湖に来たクジャクは只者ではない?・・・ってことだ。」
「まじ・・・かよ?」
金色に輝くハクチョウの女王様は、尾羽に装着した、今湖留守番をしているクジャクのジャニスから拝借した扇のような尾羽をヒラヒラと幻想的にうねらせて、海面に漂う漂泊夥しいプラスチックゴミを、翼から放つ魔術によって次々とゴム風船に変えて、お供の水鳥達のショイカゴに集めまわっていた。
「テクマクマヤコン!!テクマクマヤコン!!えいっ!!テクマクマヤコン!!テクマクマヤコン!!えいっ!!テクマクマヤコン!!テクマクマヤコン!!えいっ!!テクマクマヤコン!!テクマクマヤコン!!えいっ!!
あーーっ!!いちいち1つづつ漂泊ゴミに魔術かけるのめんどいわ!!
あっ!!そーだ!!」
ハクチョウの女王様は、隣で同じくクジャクの尾羽をくゆらせて金色に輝かせて飛んで同じく漂泊ゴミに魔術をかけている、アヒルのガーコの首にかけているゴムが伸びきった巨大風船を見付けた。
「ピッピちゃん!!今さっき貸したフラミンゴとアホウドリを助けにピッピちゃんが膨らませた巨大ゴム風船!返して!!」
「あ!女王様!!待ってました!!ハクチョウより肺活量少ない私、アヒルにはかなりきつかったわよ!!
でも、アホウドリさんの漂泊ゴミから変換した砂利雨でもしかしたら穴が開いてるかもしれないわ。」
「それでもいいわ。兎に角、この巨大風船が今必要なの!!」
ハクチョウの女王様は、アヒルのピッピの首からスルスルと、伸びきった萎んだ巨大風船を嘴で取ると、マントのようにくるまった。
「女王様・・・じゃなくて、メグ!!何をするんだ!!
まさか!!あの禁断の・・・」
女王様と共に魔術で漂泊ゴミを風船に変える魔術をかけている、ハクチョウの王様の顔はみるみるうちに青ざめた。
「王様・・・何が始まるの?!」
アヒルのピッピは、強張るハクチョウの王様の側へやってきた。
「変わる・・・変わるのよ・・・ハクチョウが・・・龍に・・・ドラゴンに・・・!!」
「エエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!」
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