6#クジャクの盗んだ風船

 「ど、どういうこと?!」


  カナダガンのポピンは、嘴をブルブル震わせるハクチョウの王様フリードに聞いてみた。


 「やっぱし・・・君だったか。」


 ハクチョウの王様は、申し訳なさそうにクジャクのジャニスが羽毛から取り出した、ゴムが伸びたピーコック模様の風船をふんだくるように取ると、翼をポンとクジャクのジャニスの頭の飾り羽根を伸せて呟いた。


 「この風船ねえ、実は女王様がハクチョウとツルとそしてあのフラミンゴが湖にやって来た時に、『儀式』でフラミンゴに膨らませて貰おうと思った風船なんだよ?!」


 「だって・・・わたし・・・だって・・・わたし・・・」


 突然、クジャクのジャニスの目から大粒の涙が溢れ出してきた。


 「ごめんなさぁぁぁぁーーーーーーい!!」


 クジャクのジャニスは大声で泣きながら、今度はハクチョウの女王様の居る湖に向かって飛んでいってしまった。


 「お、俺・・・何か悪い事しちゃったかなあ?!」


 ハクチョウの王様は、首をかしげた。


 「王様!!それより、クジャクさんを追っかけようよ!!クジャクさん・・・何か・・・危ない予感が!!」


 「アヒルのピッピお妃!!物騒な事言うなよ・・・!!こっちまで心配しちゃうじゃないかよ。」


 「兎に角、クジャクさんの後を早く!!」


 鳥達は、取り乱して泣きながら湖に向かって飛んで行くクジャクのジャニスの後を追って、森の中を駆けていった。


 「やっぱり森の中は、俺ら水鳥じゃ飛べないね。翼が大きすぎて。

 森を脚で駆け抜けるのはしんどいや。」


 「うわあ!!どんどんクジャクさんから引き離されるよぉー!!」


 鳥達は飛んでいる時に、迫り来る枝や草叢に四苦八苦した。


 「うー、俺達が小鳥だったら・・・そうだ!!」

 

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