2#間違えられたクジャク

 「ねえ、女王様ぁ~!」


 「は?」


 「あんた、女王様でしょ?」


 「違うよ。私はクジャク!クジャクの『ジャニス』よ。

 女王様は、あそこの湖にいるオオハクチョウの・・・」


 「女王様でしょ?!」


 クジャクのジャニスは困ってしまった。


 ウミガラスのアデルは、


 「ほーら!!女王様!!おいら、こーーんなに海に漂泊してたゴム風船を拾ってきたんだよーーー!!ほらほらほらほらほらほら!!

 だって!!海・・・海はねえ。浮いているンだよ。いっぱい!!プラスチックとかプラスチックとかプラスチックとかプラスチックとかプラスチックとかプラスチックとかプラスチックとか!!ぜーんぶ、人間が捨てていったゴミだよ?!

 そんな中で、は必ずいーっぱいあるもんだよ!!

 おいら達みーんな困ってるンだ。

 泳げばベチベチベチベチベチベチベチ」





 ばさばさばさばさばさばさばさばさばさばさばさばさ・・・




 「よっこらしょ。あれ?珍しい鳥来てるじゃん?」


 ハシボソガラスのカーキチとカースケは、目を輝かせてクジャクとウミガラスの間に、ゆっくりと降り立った。


 「ねぇ。ペンギン。」「ペンギンちゃん!!」


 「おいらはペンギンじゃないっす!!『ウミガラス』っす!!

 みーんなおいらのこと、『ペンギン』とか呼んでるけどねえ!!

 『ペンギン』呼ばわりされるとムカつくんだけど・・・」


 ウミガラスのアデルはムッとして、脹れっ面をして囃し立てるカラス達を睨んだ。


 「かっかっか!!冗談冗談!!『カラス』同士じゃないか。仲良くやろうや。」


 「『カラス』は『カラス』でも種類全く違う種族だけどな。かっかっか!!」


 「カラスさん達?君達も・・・あのフラミンゴの慰問に来たんかい?」


 そこにやって来たのは、オオハクチョウのフリードとガチョウのブンだった。


 フリードとブンの首筋には、慰問の印の黒い萎んだゴム風船を腕章代わりに巻き付いていた。


 「ええ、まあ。その為に。」


 「俺も。」


 カラスのカーキチとカースケは、軽く会釈をした。


 「そこのウミガラスとクジャクも?」


 ウミガラスのアデルはギクッとした。


 ・・・ぼ、僕・・・やば、とんでもねえ日に来ちゃった・・・!!

 ・・・ただ、女王様にこの漂白風船を献上しに来ただけなのにぃ・・・


 「ま・・・まあ。そ、そうだけど・・・」


 ウミガラスのアデルは冷や汗をかいて、軽く会釈をした。


 しかし、クジャクのジャニスは何も返事はしなかった。



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