第2話 コップの中の漣

 コップの中のさざなみ



「かんぱーい」



 誰に言うでもなく呟いて、誰にぶつけるわけでもないがコップを傾ける。揺れて漣が立つ。コップの中身はなんでしょう?ヒントは僕をふわふわさせてくれるもの。



 漣漣れんれんたるなみだ

 


 止めどなく目からこぼれるからみず。なみだもほとんどがみずだ。体のみずと同じように塩が入ってるからしょっぱい。感動しなくてもながれるなみだはいっぱいある。玉ねぎを切った時や目にゴミが入った時、なみだは目を守っている。じゃあ今僕がないているのはどうしてだ。僕の目はそんなに弱いのか。一人で好きなことをしているのに急に頬がぬれていく。服をしん食していく。

 脳みそがいらないものを捨てている。脳みそというあわが頑張っている。僕というコップのみずの不純物を取り除くために。それはストレスとかいうものだったり、きえてはくれない思いだったりする。


 あわが脳みそなら心はどこかって?透明で見えないにきまってるだろ。みずにとけているのさ、どこにだってあるし、どこにもないのさ。探しちゃいけないのさ、そこにあるから。僕の思いが揺れ動くとき、僕のみずは波立つ。はげしく時に静かに、小刻みに震えてはみずがこぼれる。あふれる。かわく。飢えている。


 時間の波にしずんで

 人の波におぼれて

 文字の波をおよいで


 誰かといなくてはいけない

 一人じゃいけない


 音波にまみれて

 電波にのまれて


 目に見えない波が来ている

 Wi-Fiは波乗りしている



 僕は波乗りが覚えられない

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