そのままのあなたを。

マフユフミ

第1話 診断されちまった

きっかけは、感情のキャパを超えたカースケさんが、自らを傷つける目的で包丁を持ち出したことだった。


我が家の長男カースケさん、当時8才。

小学校2年生の3月に。

彼は「自閉スペクトラム症」と診断を受けた。


ずーっと、怪しいなぁとは思ってた。

三歳の頃、実際に検査も受けさせたし(保育園のすすめで。そのときはシロだった)、1年のときは学校の支援の先生に相談にも行った。

だから正直、診断名を聞いたときは「やっぱりか」という印象だった。


ただ、実際に確定診断がついて、これから先どうしようか、と考えたとき、いろんな感情が出てきたのも事実。


「彼はこの先一生、この診断名を背負って生きなければならない」

「診断を確定させてしまったことで、今後いわれのない差別を受けるかもしれない」

「今仲良くしてくれている友達も、親御さんの意向で遊べなくなってしまうかもしれない」


考えたって仕方のないことばかり。

それでもやっぱり考えてしまう。言うても親やから。


私のこの判断が、彼の一生を左右することは明白で、だからこそいろいろグルグルした。

いまだにしてるんやけどね。


そんな私のグルグルを吐き出すことがこの文章を書き始めるきっかけで。

いろんな意見などを聞かせてもらえればなぁ、なんて考えて。


診断がついて、まだ半年。

私たちのグルグルは、実は始まったばかりなのだ。

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