『別世界』

『別世界』




絶望が

立ち塞がってるわけじゃない

電車通勤の慌ただしさに

蜃気楼のごとく、

それはかきけされ、過ぎ去って行く

まるで無かったように

次の駅へ


そして何年かして

目の前に、ふとそれが現れる

あのときとその距離は変わらず

そこで初めて後悔を感じ

そして今度こそ、その足を止めてしまう

ねぇ、

横でこうやって、

僕が声を掛けなきゃきっと

諦めていたでしょう


ねぇ、記録が大事?

才能が大事?

それすら今更だって?

齢は関係ない

そんなのごく僅かの偉業だって?

それに挑むひとだって、

実はずっと少ないの


お願いだから気付いてよ

歩みだすだけで景色は変わるじゃない

地平線は四キロ先って

案外近い気がするよ

ここに突っ立てる景色は

四キロ歩けば地平線の向こう側

ほら、隣部屋に来たみたいにもう別世界さ

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