第6話 さようなら紫陽花
「ああ。もうだめだね。もう、電力は来ないし、自家発電の燃料も、もう手に入らない」
――大丈夫ですよ。もう十分生かしてもらいました。あなたこそ、早く、地下シェルターへ行かなくては。
「君たちが生き延びる可能性があるとすれば、天井のドームを開いて、君たちを野生に還すことしかないか」
――あの天井のドームを開いたら、それこそもう自家発電の燃料がなくなってしまうし、人間たちにとって有害な空気が入り込んでしまう。そうなったらあなたが……!
「ありがとう、紫陽花。綺麗な花だ。満開の君の下で眠れるなんて、僕は幸せ者だ」
――だめです! 天井を開けないで! やめて!
「ああ。綺麗な夜空だ。何年ぶりに見たんだろう」
――どうしよう! 天井が……ああ、もう、どうしたら……
「見てごらん。綺麗な流れ星だ。なに、すぐにはくたばらないさ。しばらく歌でも歌おうかな」
――その歌は、私の大好きな歌です。私、その歌を忘れません。ずっとずっと歌います。だから、お願い! 地下シェルターへ……!
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