つれづれなるままに

斎藤帰蝶

花火

突然の音に驚いて。

私はLINEにメッセージを書き込む。


「花火やってるよ!」

「ラウンジから見えない?」


既読の後の沈黙。

ラウンジに慌てて向かう、あの人の姿が

確かに、見えた。


慌てさせてしまって・・

また容態が悪化したら・・


そんな後悔が頭をよぎる。


でも。


「見えるよ。小さいけれど。」


そのメッセージを確認して、ベランダに出る。


家々の屋根の上から覗く花火。

高く上がったものしか見えないけれど。


幾度となく、二人で見てきた花火。


「テレビ見ている人がいるから、明るくて、

 窓によほど近づかないと見れないからかな。

 気付いている人、誰もいないよ。」


そんなメッセージに、思わず微笑が漏れる。


あの人も一人で。

私も一人で。


同じ花火を見つめている。


神様、どうか。

あの人が早く退院できますように。

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