随筆と言うお洒落な響きと、エッセイかも分からない曖昧な散文(仮)
NPC(作家)
夢、或いはprologue.
ある日に見た夢の話をしようと思う。
その夢で私は、家族で電車に乗って旅行にでかけたようで、気がつけば知らない電車の座席に座っていた。
電車は、動いている。揺れる車内に私達の他には誰も乗っていなかった。
窓を見れば、人気のない木々混じりの町並みがゆっくりと流れていく。空を見れば、時間はおそらく昼ごろだろうか? 晴れ間にポツポツと雲が浮かんでいた。
気味が悪い、と私は思った。
空は、確かに晴れていた。だがまるで、灰色の霧でもかかっているかのように薄暗い。電車の進みはやけに遅く、まるで目的地にたどり着く気が無いのではないかと思わせた。
家族はこの空虚さをさして気にしていないようだったが、既に旅行の話は尽きているのか、ガタンッガタンッ という音だけが、電車の中に響いていた。
不意に、頭を無理矢理押さえつけられたかのような鈍い感覚が私を襲った。突然の事に抵抗することもできず、小さく苦悶の声を上げ、頭を抑えた。
私はあまりの事に、この電車の車体がぐにゃりと歪んだように錯覚した。いや、確かにそれは勘違いだったのだが――
違う、窓の外がおかしい。
車窓から見える空が、シャボン玉の表面を見ているような不気味な極彩色の光に染まっていたのだ。
その光と呼応するように、私の意識もうねりを上げる。体は既に電車の床を這いつくばり、家族の安否を確認する隙などなかった。 感覚の歪みに際限無く襲われた。
電車が、深いトンネルへ入っていく……
もうダメか……と、私の本能が告げた。
プシュー。と、音がしたのはその時だった。
電車がトンネル内の駅に止まったのだ。
灰色のコンクリートで形作られた構内に、あれはなんだ?
ピンク色の細長い影がドア越しにいくつも見えた。
そのドアが、開く。
瞬間、ピンクの人影が電車内へ殺到した。
それは銃を持ち武装したナースだった。
ナースと言ってもスカートは短く、胸元は露出していて挑発的な服装。その手に持った自動小銃を含めてその姿はコスプレのようで、とても病院に居るようには見えない。
彼女らは軍隊のように統率の取れた動きで素早く車内を制圧した。
構内に残っているナースが、なにかの装置を動かし、その装置から空気のようなものを吹き出す。
すると場の空気は一変し、私を押しつぶそうとする鈍い感覚は去った。
浄化装置? よくわからないが、彼女たちは武装の一つであるガスマスクを外す。ナース達の立ち振る舞いは、まるで一人ひとりが洋画に出てくる女スパイのように鮮やかだ。
彼女らの一人が私に駆け寄り、意識を確認するように手を差し伸べた。
回復した意識を使い体を起こす。
車内を見渡すと倒れた家族がナースたちに介抱されていた。
助かった。 にこやかに微笑むナースたちを見てそう思った瞬間。 私の意識は白濁した。
パッ、と私の目が見開いた。
そのまま、ガバッ、と勢い良く上半身を立てる。
私は起きたのだ。
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