『白金』を入れて【悔しい】
痛々しい顔で歯を噛む女性客が注文したのは、白金の指輪だった。
納品の時、傷だらけの顔を絞る様に泣いたのを今も覚えている。
「負けた自分にご褒美ですか?」
今、テレビに映る彼女は笑顔だ。
「忘れたくなかったんです」
落ちた雫を受け止めたあの指輪が、錆びる気配なく輝いた。
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