Rest in Tutibuta

大滝のぐれ

セレブレイト

「それ、やめろよ」

 ケーキの上の苺をフォークでぐずぐずにしていると、目の前に座っているサトシが眉をひそめた。

「もうお互い大人なんだし、行儀よくしようぜ」

 彼は目の前にあるタルトをゆっくりと丁寧に、口へ運ぶ。フォークを持つ指には、照明ををやわらかく照り返す輪っかがはまっていてきれいだ。高校のときの昼休みが、そこにかちりと合わさる。あのころはケーキなんてものはなく、購買の安い焼きそばパンだけがそばにあった。

「もう俺は女が怖いよ。お前と結婚できたらなあ」

「本気?」

「じょーだん」

 苺をさらに潰していくと、彼はもっと嫌そうな顔をした。それでも僕は、食べもので遊ぶことをやめてやらない。



(お題……『遊ぶ』 本文287文字)

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