第3話 僕らが始めた理由 奈奈さんの場合

「どこの高校いきたいの?」


「制服がカワイイとこがいいな」


「…自分の将来の事なんだから、ちゃんと真面目に考えなさい!」


 ちょっと冗談言ってみただけなのに本気で親に怒られちゃった。


 勉強はそんなに嫌いじゃないけど、進学校はちょっと勉強だけの高校生活になりそうだから、やだなと思っていた。

 母は看護師なんだけど、将来は母と同じく看護の道に進みたいとは思っていたのだけど、看護科の学校もあまりイメージ わかないし。

 普通科で、看護体験があって、そこそこの進学率…

 実際に入学した高校は、勉強と部活両立出来て、将来の看護の道も目指せる、そんな理由で決めた学校だった。

 特進クラスも勧められたけど、部活に制限がかけられるみたいだからパスした。

 文武両道を目指す私としては、部活は譲れなかった。

 この学校は部活の掛け持ちもOKで、文化部と運動部を曜日で掛け持ちしたり、朝は運動部の朝練に出て、放課後は、文化部の部活にでたり…みたいに、柔軟にやってる人が多いらしい。


 中学時代は軟式テニスをやってたのだけど、高校からは硬式テニスに転向しようかと考えてる。

 でも、弓道とかもちょっと憧れるんだよな~。

 なんかカッコいいでしょ?

 背筋がピーンと伸びて、独特な空気、憧れるけど、落ち着きがない私にできるかなーって。


 あとは英語部と茶道部とで悩んでるけど、運動部ひとつと文化部ひとつを掛け持ちしようかと思っていた。


 そうこうしていて、色々な体験入部をやった感じ、硬式テニスと茶道部に決めようと思った。

 決め手は先輩の中の数人に、この組み合わせの掛け持ちを実際にやっている人がいたからだ。

 私の中ではほぼ、これで決定なんだけど、入部届けはまだすぐには出さなくていいらしいから、もう少し体験入部してみようかな。


 そんな時だった。

 私の席の前の二人、荒川大河君、川中島晴臣君がラグビー部に体験入部するつもりらしい。

 ちなみに私のなかで、この二人をツインタワーと呼んでいる。

 二人とも背が高いから、真後ろの私は黒板見えないのよ…

 成績のこと考えると、早く席替えしないかしら…とも思う。

 でも中々面白い子達なんだよね。


 そうそう、体験入部の件だけど、二人は入部目的ではなくて、川中島君のお兄さんを見に行く軽い気持ちみたいだから、便乗しちゃおうかな。

 入るつもりの無い部活に、一人で見に行くのはちょっと抵抗あるから、ちょうどいいかな。

 川中島君のお兄さんが似てるかどうかも興味あるけど、ラグビーって中学の時は部活なかったし、一度見てみたいと思って。

 将来看護の道を目指す私にとって、ラグビーとかって怪我の多いイメージだから、なんとなく知っておきたいと思ったの。


 以上が私、入間奈奈のきっかけでした。

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