吐瀉と随筆
私の吐瀉物と随筆作品のどこに違いがあるだろうか。
どちらも到底飲み下せなかったもの、或いは咽喉のもっと奥にある消化器官が拒否したものだ。
そうして目の前に吐き出されたものだ。
この二つにもしも違いがあるとすればただ一点、そこに怒りがあるかどうかである。
概ね、私は人当たりが良い。
というのも、自分の考え方などを相手に伝える事を、諦めているからだ。
しかしながら、やはりこれは到底納得できずともあれ人に同意は求められないがされども溜飲を下げる事が困難。となれば、書く他に手段が無い。
力の強い人間ならば良い。
特にテレビに出て人々に影響を与えられる程強い人なら、自分の意見を反論も気にせず
しかし私は弱い人間だ。
だから文章という、何とも寛容な世界の中でしか自分の意見を言う事が出来ない。
そして皆の前では溜飲を下げて置いて、誰も見ていない世界でその下げた溜飲を戻して随筆をする。
そうやって出来た作品は最早吐瀉物に他ならない。
そんな汚いものを見せるのか、とお思いか?
それが随筆だと、私は思うのだ。
醜い、固執した、不遜の塊。
人間そのものと描写して構わない程の醜悪さ。
小説は、恐らくこれを丁寧に調理して臭みやエグみを取り除いたものだ。
私は、納得がいかない事が多い程、怒りが煮え
世界の理不尽が私を創作へと向けさせる。
いつか小説を書かなくても良くなったその時は、きっと幸せになっている事だろうが、残念ながら私が幸せになる事など有り得ない。
だから死ぬまで永遠書き続ける。
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