『ディープインパクトの手のひらのなかで(仮)』

ばふちん

ラジオたんぱ中根アナの言葉に導かれて

 ぼくは1988年産まれ。競馬観戦歴16年だ。

 産まれた年の日本ダービー馬は、サクラチヨノオーだ。

 前年、つまり1987年の有馬記念で、同じ馬主のスターオーが、足のケガで競走を中止した。

 サクラスターオーは、闘病の果てに、翌年、つまり1988年に、この世を去った。

 皐月賞と菊花賞の二冠馬にかんばサクラスターオーが、出走できなかった、日本ダービー。

 サクラスターオーが死んだ年、サクラチヨノオーが日本ダービーを勝ち、スターオーの無念を晴らした。


 ぼくは1988年の日本ダービーの映像を、グリーンチャンネルの番組で観た。

 チヨノオーが勝った年の日本ダービーで、場内実況を担当したのは、ラジオたんぱ(つまりは今のラジオNIKKEI)のアナウンサーだった、中根幹夫なかねみきおさんだ。

 1988年の日本ダービーのゴール直後に中根アナが放ったフレーズが忘れられない。ぼくは、そのフレーズを、正確に記憶していない。でも、忘れられない。


『人と馬の壮大なドラマ!』


 こんなフレーズだったはずだ。

 そう、競馬は、人と馬の壮大なドラマなのだ!

 今でもぼくは、そう信じている。

 信じているし、サクラスターオーの悲劇があって、スターオーの魂をまるで引き継いだかのように、サクラチヨノオーが日本ダービーを勝ったということ。今回、そういうことを思い返して、いっそう『人と馬の壮大なドラマ』という想いを強くした。

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