03 お姉様編 おまけ
華子は今、目の前にいるこの義姉の命令で、コーヒーを淹れに行ってしまった。
最悪だ。
「幸人くん」
「何でしょう」
義姉の口からは今度はどんな言葉が出てくるだろうか。
「華に手を出したら、殺すわよ?」
ほら、またいつもの忠告だ。
両親が海外におり、長い間姉妹二人で生活してきたせいか、この義姉は結構なシスコンである。しかも、それを華子自身には気付かせないようにしている。そして周りからガードしていくのだ。
「あちらから手を出してきた場合は?」
「あの子がそんなことするはずないわよ」
華子のことは全てわかっているといった口調だ。
中々手強い。
「まあ、いいわ。それよりも――」
義姉――恵子は目を細めた。
「華子に変な虫付けるんじゃないわよ」
それは、幸人に虫除け役をしろ、という意味だ。
しっかり者だな、と幸人はため息を吐く。
「コーヒー淹れたけど」
いいときに華子が帰ってきた。助かった。これ以上この義姉の相手をするのはごめんだ。
恵子ももう用が済んだのだろう。立ち上がってさっさと玄関へ行く。
「また来るわね」
一瞬だけこちらをにやりと見て、華子へとけるような笑みを贈る。
とりあえず、目下の敵はこの義姉らしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます