第15話 ダークヒーロー、集う

「・・・・・ああっ、くっそ!!ヴィラン共、許さねえっ!!」

叫びをあげて礼拝堂の長椅子を蹴るのは、モヒカンにトゲ付きのチョーカー

やタンクトップにダメージジーンズとパンクな服装の釣り目の青年。


彼の名はジョニー、車をパワードスーツに変形させて身に纏いスパイクホイール

と名乗るダークヒーローだ。


外見に反して人当たりの良い好青年なジョニーも、ヴィランのピザ屋襲撃に

激怒していた。


「ジョニー、あなたの怒りはわかるけど椅子に罪はないわ。」

ダークレディこと、ゴスロリ少女のミナがジョニーをたしなめる。


「・・・・ああ、神様ごめんなさい。この罪はヴィランを倒して償います。」

礼拝堂中央の神像にジョニーが懺悔する。


「ここ最近の事件に憤っているのは、ジョニー殿だけではござらん。」

何処からともなく闇の中から黒装束の忍者が現れる。


「おお、お前もわかってくれるのかハンスケ!!」

ジョニーが忍者をハンスケと呼ぶ。


「ジパンから帰ってたのね、ハンスケ。」

ミナもハンスケを名前で呼ぶ。


「里帰りでの修行と、粗食は辛かったでござる。」

ハンスケが答える、彼の名はハンスケ・カッパ―フィールド。

ヒーローとしての名はテンバツナイト、忍者である。


彼らダークヒーロー3人が集まるこの地下礼拝堂は、ダークヒーローのたまり場。

「で、何か情報は掴めたのか?」

ジョニーがハンスケに尋ねる。


「掴めたでござるよ、真っ黒な情報をヴィランクラブ絡みでござる。」

ハンスケがプリントされた紙を出して見せる。


そこに書いてあるのはヴィランクラブのゲーム、ピザハントの参加要項。

「・・・・・ふざけた、内容ね。」

ミナが紙を手に取り呟く。


「どこで手に入れたんだ?」

ジョニーがハンスケに情報の出所を尋ねる。


「ここに来るまでに通りかかった、ポーカーピザを狙う雑魚を仕置きして

頂戴した携帯電話から抜いたでござる。」

ハンスケが語る。


「ポーカーピザは経営者は嫌いだが、街のソウルフードで俺の好物だ守りたい。」

ジョニーが行動の動機を語る。


「私も好きだし、パーティーのメインに欠かせないわ。」

ミナもジョニーに同意する。


「同感でござる、誰に頼まれたでなくとも動かねばならぬ時がある。」

ハンスケも頷く。


「よし、他のダークヒーローにも声をかけるぜ反撃開始だ♪」

ジョニーが拳を突き上げる。


こうして、ヒーロー側はダークヒーロー達が先行して反撃の嚆矢を放つべく

動き出した。


作戦の名は、ヴィランフィッシング。









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