第13話 ナックルファミリーその4

コーサクとマザーが闘っている中で、他のファミリーも奮闘していた。


悪行に加担したヴィランの中で、最も不幸な最期となったのは毒蟻団だった。


ヒーローやヴィランは、普通は超人の類であるが毒蟻団は一般市民と超人の中間

に位置する犯罪組織で他のヴィランからの使い走りや下請けで暮らす戦闘員だ。


「急げ、このATMの金を俺達の改造手術代にするんだっ!!」


「下っ端戦闘員から、せめて普通の悪の怪人にっ!!」


「今夜はピザとビールっしょ!!」


自分達の成功を疑わない毒蟻団の前に、二頭の獣が立ちはだかった!!

 

白熊の獣人ポーラと、狼の獣人のヴコドラクだ。

「熊と狼の化け物だ~~~~~っ!!」


毒蟻団の一人が禁句を言ってしまう!!


ポーラもヴコドラクも、普段は獣人化した上でヒーロースーツを纏うのだが

今日は突発の為スーツを用意していなかった。


トレーニング後のストロングミルクで、ドーピングされた状態なんでほぼ巨獣!!


・・・・・・この日、毒蟻団は完全に壊滅した。


「・・・・・何よ!!とんだ新歓イベントね!!」

ドクター・スラッシュが呟いたのをレッドバイソンは聞き逃さなかった。


レッドバイソンは全身が赤い牛の獣人、その皮膚は怒れば怒るほど固くなり

攻撃力と防御力が上がるだけでなく彼女の体から出る熱波で発火現象が起こる!!


ファミリーの長であるマザーナックルを筆頭に、炎の技に長けるナックルファミリーの中でレッドバイソンも実力者であった。

「サークル活動なら、クラブハウスで行って下さいませ!!」


切れない物はないと言われる、ドクタースラッシュのメスを素手で弾きながら

格闘しつつ相手を燃やしにかかるレッドバイソン。


レッドバイソンに攻撃を任せ、ソーレ・スクードは生存者の手当てに奔走していた。


彼女は日光を自分へと集め、その手から暖かい光を放ち傷を癒していく。

彼女がいなければ、死傷者の数は増えていたであろう。


「・・・・最悪、楽しいクラブ活動だって聞いてたのに!!」

白衣を燃やされ、火傷を負ってきたドクター・スラッシュは逃走を図る事にした。


「逃がしません!!」

それを追いかけようとした、レッドバイソンの前に黒い喪服の女…バンシ―が

背後から黒い刀で切りつける!!


固い皮膚を持つレッドバイソンも、エネルギーの武器には部が悪かった。

出血し倒れるレッドバイソン。


倒れたレッドバイソンと、逃げたドクター・スラッシュを見やるとバンシ―は

足元に闇を広げて沈んでいった。


「今助けます!!」

戻って来たソーレ・スクードが、ただちに治療を行った事でレッドバイソンは

一命を取り留めた。


こうして、ナックルファミリーの奮闘によりヴィランクラブの存在が断片的にとは

言えその存在をヒーローサイドに知られる事となる。







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