第10話 ナックルファミリーその1
「ナック~~~~~ル、ファイッ!!」
「「オーーーッ!! 」」
その日の明け方、掛け声を上げる珍妙な集団が街中を走っていた。
背中に牧場仕様のミルク缶を背負ったジャージ姿の男女の集団である。
先頭の、服の上からでも見える筋肉も胸も大きい金髪の美女。
彼女の掛け声に合わせて後続の美女で猛獣な女性陣と一人の少年が声を出して走る。
朝日を浴びながら早朝マラソンをする彼女達こそ、アストレアシティでもベスト10に入るヒーローチーム、その名も『ナックルファミリー』だ。
先頭を行く女性こそ、そのリーダーでマザーナックルことキャサリン・バーニング。
そのスーパーパワーは火山、マグマの拳で悪党どもを粉砕するわ巨大化して怪獣
と戦うわの超人ぶりは、シティの切り札の1枚と言われる灼熱の地母神だ。
性格は戦いの豪快さとは裏腹に、温厚で慈愛に溢れ思慮深い。
強さと優しさを備えた鋼鉄の母である。
最後尾が彼女の息子、キッドナックルことコーサク・バーニング。
そんな母の元に生まれ、次代を担う2世ヒーローとして修行中だ。
母子の間を走るのは、ポーラことアレクサンドラにヴコドラクことエルザ。
銀髪に褐色肌のマーガレットはレッドバイソンと言うヒーローだ。
ピンク髪で白い肌の眼鏡っ子はフランチェスカ、ソーレ・スクードの名を持つ
ヒーローでコーサクの後輩サイドキック。
コーサク以外のナックルファミリーは、美女や美少女と言っていいのだが筋肉は
並のアスリートより多く強い。
日々のトレーニングを欠かさない、それがファミリーのスタイル。
一行が足を止めたのは、先日シュナイダーが爆走した河原だ。
各自がミルク缶を背から降ろす、そしてミルク缶の蓋を開けて
片手でペットボトルみたいに牛乳いっき飲みを始める一行。
この牛乳こそファミリーの筋肉の源、ストロングミルク。
ファミリーが運営する牧場で育てた牛から採れる超人ご用達の牛乳だ。
「休憩したら、ストレッチよ~♪」
キャサリンの声に一同が「イエス、マムッ!!」とレスポンス。
「ヘ~~イ、ボ~~イ♪ 一緒にエクササイズしよ~ぜ~♪」
エルザがコーサクに抱きついてささやく。
「・・・エ、エルザ~~!!」
エルザに密着されたコーサクが恥ずかしがる。
「待ちなさいエルザ、コーサクは渡さないわ!!」
アレクサンドラが、カットにかかりコーサクがフリーになる。
二人に弾かれたコーサクをマーガレットがキャッチ。
「ではコーサク様、私めと組んでいただけないでしょうか?」
マーガレットが漁夫の利を狙う。
そこに手四つで組んでいた、エルザとアレクサンドラが一致団結して
「「そうはさせない!!」」
とコーサクを奪いにタックルをするもコーサクが弾き飛ばされる。
コーサクを受け止めたのはフランチェスカ。
「先輩、そろそろ戻って学校に行く準備をしましょう。」
フランチェスカがコーサクを背負い、ダッシュ!!
それを追う、エルザ、アレクサンドラ、マーガレット。
これはもはや、コーサクをボールにした球技である。
「コーサクもパパに似てモテるわね♪誰が、射止めるのか楽しみだわ♪」
キャサリンが笑う。
こうして、コーサクはラグビーやサッカーのボール扱いされながら
日々鍛えられるのであった。
そして、この後ナックルファミリーはヴィランクラブがらみの事件に遭遇する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます