ヒーローズ・キッチン

ムネミツ

第1話 若き拳

ヒーローズ・キッチンと呼ばれるアストレアシティの日曜日。


高層ビル群が立ち並ぶ街中、平和なランチタイムに轟音が響く!!


音源は宝石店、ショーウィンドウが爆発し店内から飛び出したのは

背中のボンベと繋がったガスマスクで顔全体を覆った、ラバースーツの怪人。


頭や首には盗んだティアラやネックレス、手には指輪や現金入りの袋。

誰が見てもまごう事なき強盗であった。


怪人の名はガスボマー、その能力はというと怪人の口のガスマスクから

黄色いガスが吹き出し止めとばかりに宝石店がテナントごと爆発した!!


爆発するガスを生み出し操る、それがガスボマーの能力だった。

自分には効かないというチートっぷりが奴のデンジャーランクを上げていた。

「さて、ライトかダークかリベロかわからんがヒーローが来る前に逃げるぜ!!」


デンジャーランク、それはヒーローやヴィランの強さの目安。

このランクが高い人物ほど、活動すれば人や世界に迷惑を及ぼす。


そして、この世界のヒーローは3タイプにカテゴライズされる。


ライトヒーロー、明るい、真面目、品行方正など人々から憧れられる

アイドル要素も強い正義のスーパーヒーロー、ダークヒーローとは

ヒーロー性の違いでよく揉める。


リベロヒーロー、ライトとダークの中間。

一般市民目線を忘れないヒーロー、その時の都合でスタンスが変わる。

ライトとダークの仲介役。


ダークヒーロー、悪に対して容赦なし戦いはいつも全力フルスロットル。

被害や犠牲もいとわない、結構やり過ぎるヒーロー。


・・・・・悪い子じゃないんですと言われるタイプで、ライトヒーローとは揉める。


どのヒーローが来ても、ヴィランや市民にとっては厄介だった。


ガスボマーを追い、立ち向かうのはどのヒーローか?


「待て、ガスボマー!!」

逃げようとする怪人を止めたのは、赤を基調としたヒーロースーツを

全身に纏ったヒーローだった。


「・・・・ほう、俺を止めるのは誰かと思えばサイドキックか?」

ガスボマーが自分に声をかけた赤いヒーローを見る。


サイドキック、ヒーローは職人のような徒弟制であり見習いのヒーローを

サイドキックと呼ぶ。


赤いヒーローも、どうやらまだ見習いのようだった。


「ナックルファミリー所属のキッドナックルだ、刻み付けろ!!」


名乗りを上げたキッドナックルが瞬時に間合いを詰め、炎燃え盛る拳で

ガスボマーの腹を打ち抜く!!


キッドナックルは、ガスボマーと同時に爆発と炎に包まれた。


若きヒーローとヴィランの勝負の結果はドローとなった。


ガスボマーはヴィラン専用刑務所の病院、キッドナックルはヒーロー専門の

病院に放り込まれて事件は収束した。






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