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「あ、そうだこれ良かったら試食してください」
「え、もしかして桃子ちゃんが作ったお菓子?」
「そうなんですけど、まだまだ売り物にはできないし練習したものなので申し訳ないくらいなんですけれど」
そう言っておずおずと出して来たのは、茶色い小さな円が二つ重なったものだ。
これはどら焼き!
でも待って。間に挟まっているのって?
「定番ですけれど、どら焼きに生クリームを挟んだものです。生どら、なんて呼ばれている物ですね」
「食べていいの?」
「もちろん」
小首を傾げてにっこりと微笑む桃子ちゃんに見られながら生ドラをパクリ。
あぁもう、これが美味しくない訳ないじゃないか!
「美味しい」
「良かったぁ」
「生クリーム、ちょっと甘めなんだね」
「うちのどら焼きはあんこも生地も甘さ控えめなので、洋菓子要素の生クリームを甘めにしてデザート感を狙ってみました」
へぇ、良く考えているんだな。確かにしっかり甘さがあるから満足できる一品かも。
「凄いね」
「そんなことないですよ。でも、学校では当たり前ですけれど洋菓子ばっかり作っているので、和菓子を作りたい気持ちが湧いてくるっていうか和洋折衷のアイディアが沢山浮かんでくるんです。だから他にも」
キラキラした笑顔でそう言うと、ドン、ドン、と器に乗ったどら焼きを目の前に出してくる。和菓子の並んだショーケースの上にどら焼きが沢山。え? 何このどら焼きは。
「こっちからレアチーズ、アプリコットジャム、バタークリーム、ガナッシュ、カスタードクリーム、クリームブリュレ、ヌガー、キャラメル」
「ちょちょちょ、ちょっと待って! これ全部桃子ちゃんが作ったの!?」
「そうですよ! 昨日今日で作った分と、今さっき作った分です。私もまだ試食できてなくて」
え? まだ試食していないの? ちょっと待って、特に最後の二つとか俺が思っている通りならかなりやばいとは思うけど・・・?
「スカイさん、うちのお得意様だし、これはサービスですから気にしないでください」
「え、あ、そんな、こんなに食べられないよ」
「え? スカイさん甘党ですよね? 大丈夫ですって。ね? こちらからどうぞ。ぜひ感想教えてください、これからの参考にしたいので」
なんて笑顔で言ってくれる。あ、う・・・花が太陽の光と水でグングンと成長していくように、彼女の成長はまだまだ続くのだろうか。
「うん、ありがとう・・・」
「どういたしまして!」
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