巻末詩
あなたの知らないところで廻る春の中で
梅か桃かそれとも桜か
階段の際まで伸びている枝にそっと手を伸ばし
けれども触れることをためらって顔をそっと近付ける
あの頃は分からなかったその違いも今では少し明瞭になって
ぼんやりとしかけていた記憶の中のあなたのことを思い返す
あのときも私は同じ疑問を持っていたから
あなたはそんな私を笑いながらも教えてくれたような気がする
あれは桜でしたね
これもきっと桜でしょうね
そっと一人で微笑みかえし
あなたの知らないところで廻る春の中で私は静かに階段を登っていく
詩集:廻る春の中で 雨宮吾子 @Ako-Amamiya
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます