失意の果てに

ツヨシ

第1話

そう、あれは昔のこと。


わたしがまだまだ精神的には子供だったころの話です。


そのとき私は当時付き合っていた彼と別れることにしました。


理由はさまざまです。あんなことやこんなことや。


電話で別れを切り出すと、彼が言いました。


「今から行く」


「来なくていいわ」


そう言ったのですが、「行く」と言って電話を切りました。


どうしようかと思いましたが、来ても相手にしなければいいと考え、そのまま部屋にいました。


しばらくすると、玄関のチャイムが鳴りました。


のぞき穴から見ると、彼でした。


私は無視することにしました。


ほおっておけば諦めて帰るだろうと思ったのです。


ところがチャイムは何度も何度も鳴り続けます。


それでも聞こえないふりをして、音量を上げてテレビを見ていました。


テレビの内容は全く頭に入ってきませんでしたが。


しかしいつまでたっても、一向に鳴り止みません。


時計を見ると、かれこれ三十分以上は鳴っているのです。


我慢も限界でした。

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