例え私が──ても、

HF- N02-003

　何故、誰も愛してくれないんだろう。

　何故、誰も私を大切にしてくれないんだろう。

　私が悪い子だから？

　私が至らないから？

　私が欠陥人間だから？

　お願い、私を見てよ。

　私の事が何よりも大切と言いながら、私が大切にしていたものを勝手に持っていかないで。

　お願い、私を見てよ。

　私は貴女じゃないのだから、貴女が好きなものが私は好きじゃない事だってあるんだよ。

　お願い、私を見てよ。

　私もここで生きてるんだよ。自分の付属品のように扱うのはやめてよ。

　誰も、私を見てくれない。

　私は人の考えを押し退けてまで我を通したいとは思わないから。

　誰も、私を見てくれない。

　いくら人の要望を優先させるからって、私が何をしても傷つかないなんて思わないで。

　誰も、私を見てくれない。

　私にも嫌な事はある。顔が笑顔だからって嫌だと思ってないなんて思わないで。

　誰も、私を救ってくれない。

　何度も踏みつけられても平気でいられる程、私は強くない。

　でも、ここで立たなければ、もっと踏みつけられる事になる。

　誰も救ってくれないんだから、私は私の足で立つしかない。

　そう、誰も救ってくれないんだ……

　あなただけは違うと思っていたのに──

　あなたも私を救ってはくれなかった。

　なのに

　何故、あなたは愛されて、

　私は愛されないの？

　何故、あなたは私を踏みつけたのに、

　誰からも愛されるの？

　なんで──

　例え私が──ても、私はあなたに──。

　だって、唯一──────だもの。