第23話
「日本の危機を救った『養育ロジック』。その原案を作成し、実用化までこぎつけたのは──
背筋を伸ばして正座し、真っ直ぐに
「は?」
アホ
今
「嘘だ……」
信じられない。
信じる事が出来ない。
ただでさえ実感できない未来の話。
更には、
1000歩譲っても信じる事は無理だった。
この
この
そんな馬鹿な話が──
「私のいた時代には、受付やレジ担当、警備、その他様々な用途のオートマータが存在し、それが当たり前になっております。
全ては効率化、少ない貴重な労働人口を他の『人にしか出来ない』仕事にまわす為です。
しかし、全ての人間がオートマータを受け入れた訳ではありません。
中には、人間と同じ姿をした我々に嫌悪感を持つ人々、オートマータに養育させる事を是としない人々がいました」
ふと、
その目元が、少し悲しげに見えたのは、
「そんな方々の中に、我々を駆逐し人間の世界を取り戻そうという過激集団がおります。
オートマータ工場を爆破したり、道行くオートマトンを破壊したり……
恐らく、未来から来た人間たちは、その過激集団たちではないかと推測します」
再度全員に視線を戻し、淡々と
「でも……その人たちが過激だとして、なんで
そこまで言って、
オートマータを嫌悪する者たち。
過去への時間跳躍。
オートマータが活躍するようになったキッカケの『養育ロジック』
それらの事が、一つの事を指し示していた。
「……オートマータたちが活躍するキッカケを作った
どっかで見た流れだな──
誰もが
「いや、無理無理。この子が? そんな凄い事を? 出来るわけないじゃない」
「第一、私はアンタがオートマトン? ロボット? で、未来から来たっていうのも信じてないから」
オーバーリアクション気味に、肩をすぼめて首を横に振った。
昔の海外ドラマでありそうな素振りである。
その状況では信じられないのは当然──
「証拠になるかは分かりませんが」
作業着のジッパーを下腹部まで下げて、下に着ていた白いシャツをめくった。
シックスパックの腹筋、パンパンでムッキムキの胸筋がお目見えする。
先程まで呆然としていた
すると
カチリと音がして、右側の胸筋が動く。
そのまま
「っ!!」
その先には──無機質な色の、機械の板のようなものが現れた。
小さなモニタと青や緑に光るランプ類が並ぶそれは、俗にコントローンパネルと言われるものだった。
「本来は人にお見せしてはならない部分ですが……これで私がオートマトンであると実証出来たでしょうか」
大男の胸筋の裏に隠された、無機質なもの。
人間にはないもの。
それを見て
いや、
呼吸が荒くなり、心なしかハァハァ言い始めていた。
「……
その様子に気づいたのは、
しかし、
目の前の筋肉に、そろそろと手を伸ばそうとしていた。
「っ!
ポケットからハンカチを取り出して
「鼻血鼻血!」
顔に血が上りすぎて鼻血を垂れ流していた。
「先生……なんか冷静だね。意外」
誰しもに衝撃を与えた筈の
「まぁ……俺の場合はね……」
言葉を濁して、
「はい。私もオートマトンなので」
まるで、夕飯の献立を告げるかのように、サラリと
「「「はぁ?!」」」
「私は、SF078-052、株式会社コミュニブリング社所属、
抜けるように白い肌、涼やかな目元にぽってりとした柔らかそうな唇に、花が綻んだかのような笑みを浮かべて、
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