第1話

 ──その時起こった事を、どう表現すれば良いのだろう。



 まだ14歳──中学校二年生の中邑ナカムラ李子リコは、その状況を上手く説明出来る程の語彙力を持ち合わせてはいなかった。


 なら、不幸にもその場に居合わせてしまった、李子リコのクラスメイト──棚橋タナハシ四葉ヨツハならどうだろうか。


 彼女は聡明で歳の割には落ち着いている。

 しかし彼女にも、その状況を他人を納得させられる言葉を紡ぐ事は無理だろう。



 その状況を端的に表現すると──



 男が

 何の前触れもなく突然

 ちゃぶ台の上に現れた。




 真っ裸マッパで。

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