第16話 戦闘準備は万全に
文月がオペレータ端末を起動して敵情報の収集をしていると。
今度は文月のスマホが鳴った。
「はいもしもし。はい了解です。転送装置コントロール、お2人を確認しました。付近の目は大丈夫ですね。では転送します」
転送エリアに中隊長と陽菜さんが現れた。
2人とも紫紺色の制服姿だ。
既に群本部に到着していたらしい。
「どうします。新編成でやりますか」
陽菜さんが中隊長に尋ねる。
「いや、まだ部隊員が到着していない。従来編成でいいだろう」
俺には何のことか不明だ。
でも。
「そうですね。その方が私もいいと思います」
「了解」
文月も葉月も了解したようだ。
文月と陽菜さんが席を交代する。
いくつか連絡事項を離した後、作戦準備だ。
「今度の戦場は」
「安定領域半径2,500メートル程度。敵は前例通り中心に出現する可能性が大」
中隊長の質問に陽菜さんが答える。
戦闘領域の空間は案外狭い。
今回は直径5キロの球状の模様。
今までの戦闘はほぼこれくらいの大きさだった。
なお球の中には地面も含むので、実際に移動出来る体積はその半分程度だ。
「今回の出現位置はどうしますか。前回は若干近すぎたかもしれないと反省がありましたけれど」
「でも1,000取ると残り1,500で高度もあまり取れないな。700位が限度だと思う」
文月がそうなら。
「俺も最初は700がいい。場所は文月と同じで」
「私は前と同じく500で。場所は文月から時計回り90度」
葉月は接近戦に移行しやすいよう、若干前を希望のようだ。
「了解。空間安定後直ちに転送します。予定ではあと5分程度」
ちょっと間があるので文月に聞いてみる。
「あと文月すまん、文月は96式40mm自動擲弾銃って使えるか」
「大丈夫だよ。何なら使い方教えようか」
やっぱり知っていたか。
何故か知らないが、文月は様々なものの使い方を知っている。
俺も最初小銃やら迫撃砲やらバズーカやら、一通り文月から教わったのだ。
「いや、現代兵器から魔法武器までのマニアでね」
なんて以前に文月は言っていたけれど。
でもオペレーター装備まで使えるのは何故だろう。
とりあえずこういう時には大変便利だけれども。
「頼む。実はなかなか良さそうだと思ったんだけど試すチャンスが無くてさ」
「いーよー。あんなの簡単だし。私は今回は飛行形態だから自分では撃てないけれどさ。三脚固定でいいの?」
「ああ」
「なら任せておいて。20秒で照準あわせて押せば撃てるようにしておくからさ。でもあれは弾が遅いから高速機動戦には向かないよ。最初の出撃地点制圧だけで」
「そのつもりだ」
「ならいーよ」
何とも心強いことこの上ない。
更に。
「今回は私も新兵器。今度のはどんな装甲でも問題無い」
葉月がそう自信ありげに言う。
「いいのが見つかったか」
「遠距離用と近距離用、両方」
なら期待出来そうだ。
「さて、まもなく領域が安定します。3人は転送エリアにて準備して下さい」
「了解」
さて、本番だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます